「プロ志望表明したが…実際は？」東大エース・渡辺向輝の本音評「なぜ打たれない？」対戦したドラフト候補の証言…167cm“まるで芸術”フォーム 

「東北福祉にもアンダースローのピッチャーはいるんですけど、あれだけ遅いボールでも勝負できるというのがすごい。自分は力で押すタイプで、速いボールでいかに抑えるかを常に考えているんですけど、自分とはまったく違うアプローチで、緩急を使って打者を打ち取っていく。そんなピッチングを間近で見られて、勉強になりました」

緒方漣も驚いた「初めて見るボール」

　合宿の最終日にショートを守っていたのは、2年生で唯一、大学日本代表に選出された國學院大の緒方漣だ。横浜高校の1年時に、甲子園球場でサヨナラ本塁打を放った緒方は、博学の野球人の背中が頼もしかった。

「対戦したことはほとんどないんですけど、ショートを守って後ろから（渡辺のピッチングを）見ていると、そのすごさが本当によく分かる。スライダーが浮き上がるんですよ。さらに、すべての球種がナチュラルに動いている。初めて見るボールの軌道で、だから選手もタイミングをずらされるんだろうなと思います」

2年生で唯一、大学日本代表に選出された國學院大の緒方漣 ©Shigeki Yamamoto

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　3日間の全日程で実施された紅白戦で、渡辺は3連投し、無失点ピッチングを続けた。だが、堀井哲也監督は「渡辺くんは良いモノを持っていますが、総合的に選んだ」と総括し、渡辺は候補止まりに終わった。落選が伝えられる直前、渡辺は次の言葉を残して球場を後にした。

「同じ部屋の選手と話していても、プロを目指す選手たちの意識と取り組みがどれほどレベルが高いか、思い知らされた。本当に違う世界の人たちなんだな、と。それが正直な感想です」

　だからといって、夢を諦められるはずもない。今秋のドラフトを見据えて、最高学府のエースを務める渡辺は秋のリーグ戦に挑む。

渡辺向輝“まるで芸術”フォーム写真多数。連続写真で見る ©Shigeki Yamamoto