「プロ志望表明したが…実際は？」東大エース・渡辺向輝の本音評「なぜ打たれない？」対戦したドラフト候補の証言…167cm“まるで芸術”フォーム 

　先述したように渡辺の4年春までの通算戦績は1勝9敗。法政大から唯一の白星を挙げたのは3年秋だ。3日間に渡って行われた候補合宿後、大学日本代表の主将に指名された法政大の内野手・松下歩叶は、仇敵の渡辺についてこう話す。

「彼の持ち味である打たせて捕るボールが投げられていた。それに、マウンドでは誰よりも落ち着きがあった。改めて良い投手だなと思いましたね」

　なぜ日本を代表する大学生たちが、120キロほどの直球と100キロ台の変化球に翻弄されるのか。

大学日本代表の主将に指名された法政大の内野手・松下歩叶 ©Shigeki Yamamoto

「なぜ116キロ直球を打てない？」

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「やっぱり、球速が速い投手のあとにマウンドに上がると、そう簡単には打てないと思います」

　松下同様、東京六大学リーグで対戦経験のある明治大の小島大河は、初日の紅白戦で渡辺と対決し、116キロの直球にバットが空を切った。今年の大学生ナンバーワン捕手の呼び声が高い小島も舌を巻いた。

「まず、見慣れない投球フォームだというのが、打者が苦労する点ですね。下から浮き上がってくるようなボールは、他のバッターもみんな『打ちづらかった』と口を揃えていました。同じスライダーを投げるにしても、球速や曲がりに変化をつけて、打者からしたらいろんな球種でストライクをとってくる印象がある。指先が器用なんだと思います」

　全国からエリート球児が集まってくる明治にはまずいないタイプだろう。

「そうですね（笑）。ただ、受けていてリードが楽しくなるピッチャーであるのは間違いないです」

MAX164キロ右腕、東北福祉大の堀越啓太 ©Shigeki Yamamoto

　合宿に参加した投手陣のなかで、渡辺の対極にいるのがMAX164キロという東北福祉大の堀越啓太だ。豪腕の堀越に対し、“柔軟”とでも表現したくなる渡辺のピッチングについてこう話した。

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