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酷評一転「レッズサポの礼儀を称えよ」イタリア人がクラブW杯の浦和に“熱い手のひら返し”「インテル0-5だな」「ワタナベ、お前がバロンドール」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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posted2025/06/23 17:01

酷評一転「レッズサポの礼儀を称えよ」イタリア人がクラブW杯の浦和に“熱い手のひら返し”「インテル0-5だな」「ワタナベ、お前がバロンドール」<Number Web> photograph by Takashi Yuge

クラブW杯、インテルvs浦和戦翌日のイタリア各紙。国内ではレッズイレブンとサポーターを称える論調が多かったという

「レッズの選手とサポーター、両方に賛辞を送りたい。礼儀や厳格さを重んじる日本のフィロソフィーを称えねばならない」

 中継番組では、堂々と戦い散ったGK西川周作らチーム一同が試合後にゴール裏スタンドの前へ赴き、遠い極東から遠路かけつけスタンドを赤く染めたサポーターたちと礼を交わした映像が放送された。番組司会は、一糸乱れぬ統制ぶりと歌声でチームを鼓舞し、スタジアムを彩った浦和サポーターにも惜しみない賞賛を送った。

「インテル戦ゴールと履歴書に」「正気を失った運動量」

 試合翌日には、イタリアの各スポーツ紙も浦和の面々に個性的な寸評を下している。

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 先制点をもたらした渡邊にチーム最高評点「7.0」を与え「履歴書に『インテルからゴール奪った経験あり』と記入すべき」と助言したのは『トゥットスポルト』紙。MF松尾佑介には合格点「6.0」に「アタッカーのはずなのに中盤のあらゆるエリアに出没。正気を失ったのではと疑うほどの運動量」という驚愕コメントが添えられた。

 インテルのお膝元ミラノで発行される全国紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』は、アシストを決めた金子へ粋な寸評を記した。

「『カフェで一服してな』とばかりにカルロス・アウグストを置き去りに。カネコの加速力はまさに400m走スプリンター」

 同紙は、就任したばかりで今大会が初陣にあたるインテル新監督キヴに対して「前途多難。戦術を多少いじったようだが、チームは信じたくないほどひどい有様だった」と辛辣そのもの。嬉しいはずの初勝利なのに散々な言われようで、世界に名の知られる名門クラブの指揮官は決して楽な稼業とはいえない。

「0-5待ったなし」アンチ・インテルがウッキウキ

 シアトルのルーメン・フィールドで、レッズが懸命に反撃を封じていた頃、インテルの母国イタリアではある“お祭り”騒ぎが起こっていた。

 浦和との一戦は、イタリアのゴールデンタイムにあたる夜9時から地上波民放で生中継された。同時にサッカーファンの多くがDAZNイタリアでの生配信に齧りついていた。

 生配信の画面脇にある視聴者チャットコーナーでは、試合開始と同時にインテリスタとアンチ派が入り乱れ、書き込みによる舌戦をくり広げていたが、渡邊が先制ゴールを決めた途端、一気にお祭り状態に突入。“敵の敵は味方”理論でアンチ・インテル派が浦和応援一色に。

「ワタナベ、今年のバロンドールはお前だ!」
「フォルツァ(頑張れ)・レッズ!」
「まるで『イナズマイレブン』を見ているようだぜ!」
「【速報】ウラワ、今大会優勝候補に急浮上」

 まさかの失点に呆然のインテリスタたちが「(不出場だった武闘派DF)アチェルビ、早く試合に出てくれ……」と嘆いてもまったく追いつかない。

【次ページ】 「0-5待ったなし」「ワタナベ、お前バロンドール」

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