大谷翔平の舞台裏:ドジャース異聞BACK NUMBER

大谷翔平の登板前日、取材陣がザワついたドジャース監督“ある一言”「急展開を心配する論調も…」“誰も予想できなかった”663日ぶり投手復帰の舞台裏 

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斎藤庸裕

斎藤庸裕Nobuhiro Saito

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posted2025/06/21 11:03

大谷翔平の登板前日、取材陣がザワついたドジャース監督“ある一言”「急展開を心配する論調も…」“誰も予想できなかった”663日ぶり投手復帰の舞台裏<Number Web> photograph by Getty Imgaes

投手復帰となった6月16日のパドレス戦、気合の入った表情の大谷翔平

投手復帰時期は、なぜ何度も変わったのか?

 二刀流復活はいつになるのか。適切とみられる時期は数カ月の間に二転三転した。春キャンプ当初は5月ごろとされていた予定が、投球プログラムの一時休止により大幅に遅れることとなった。数週間前までは、7月15日に開催されるオールスター戦以降が妥当ともみられていた。それが、急転直下のプラン変更で6月中旬に復帰。当日の試合前、ブランドン・ゴームズGMは最終決定したのは「数日前だった」と明かした。

 復帰時期の選定は右肘の執刀医でチームドクターのニール・エラトラシュ医師、リハビリ担当スタッフ、アンドリュー・フリードマン編成本部長ら球団首脳陣、大谷本人の話し合いを踏まえた上で決められてきた。結果的に、なぜコロコロ変わってしまったのか。特殊な二刀流で調整している大谷の状態管理を考えれば、その時の状況によって柔軟に変更される可能性が高い。打者で出場しながら、投手のリハビリで強度を上げれば体にかかる負担や疲労度も変わってくる。その都度、復帰に向けてベストオプションを探っていたことは間違いない。

 大谷本人は、できるだけ長く投打の二刀流でプレーすることを望んでいる。2度目の手術を行う前の23年9月上旬、CAAスポーツの代理人ネズ・バレロ氏はメディア対応を行い、「大きなビジョンを描いている。長く続けることが重要」と見解を語った。その約2週間後、執刀したエラトラシュ医師は声明で「ショウヘイと協議した上で最終的に下した結論は、問題を修復し、肘が長持ちするよう生体組織を移植することで健康な靱帯を強化することだった」と発表した。長期的に二刀流を継続すること――。その後に移籍したドジャースも目指すゴールを共有していた。だからこそ、慎重な姿勢を崩さなかった。

“風向き”が変わった瞬間

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 チームとしても、当初は通常の投手と同様、5回75球前後をメドに先発投手としての体力づくりを完了してから、メジャーの試合で起用する予定だった。一方で、大谷は打者でも出場を続けていたことが、復帰プランに大きく影響を与えた。実際にロバーツ監督は大谷の復帰登板の前日(6月15日)に、「1週間前の時点ではもう1度(ライブBPを)行い、4イニング投げる予定もあったが、話し合いと本人の自信から『行ける』と判断した」と明かした。同10日に3度目のライブBPを行い、その後、風向きが変わった。

【次ページ】 監督が明かす「ショウヘイの話をよく聞こうと…」

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