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「不用意に左手を突っ込むな!」星野仙一が激怒のワケは? 中日レジェンド・山本昌が語る“恩師の素顔”…鉄拳も「全然、嫌だと思いませんでした」 

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

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photograph byJIJI PRESS

posted2025/06/20 11:03

「不用意に左手を突っ込むな!」星野仙一が激怒のワケは? 中日レジェンド・山本昌が語る“恩師の素顔”…鉄拳も「全然、嫌だと思いませんでした」<Number Web> photograph by JIJI PRESS

プロ初勝利を挙げた1988年から山本昌が恩師として仰ぐ故・星野仙一氏。鉄拳も辞さない闘将だったが、そこには深い愛情を感じたという

 令和の世になって、鉄拳がタブーであるのは百も承知だ。そのうえで、さらりとした物言いには、鉄拳にもひるまない山本昌の胆力を感じさせる。

「逆に怒られることでホッとしていました。僕のなかでは星野さんに怒られたら使ってもらえるんです。自分が悪い投球をして何も言われなければ二軍行きだという思いがあって、悪くても叱られたら使ってくれるという信頼感があったんです」

星野政権の「叱られ役」だった山本昌

 投手陣でも、山本昌は叱られ役だった。中日では先発要員も登板前日以外は試合後のミーティングに参加する決まりがあった。チーム内で注意点を共有するためである。だが、山本昌は登板していない日でも星野からよく「お前がやるから、若いヤツがマネするんだ」と怒鳴られたという。

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 苦笑いしながら振り返る。

「もうね、理不尽な人ですから。これはもう割り切ってやっていました」

 だが、その言葉には敬慕の念がにじむ。それは山本昌が星野の厳しさのなかに潜む本心に触れていたからだろう。

 まだ若かりし日のことである。山本昌は自動販売機で飲み物を買ったことがあった。

 すると背後から小突かれた。振り返ると星野が立っていた。

「お前、不用意に見えないところに手を突っ込んで、突き指したらどうするんや」

 左手は投手にとって命の次に大切なものである。爪を引っかけて痛めたらどうするんだと星野は声を荒らげた。かつて中日で146勝を挙げた投手だった指揮官の繊細さに触れてからは右手を使うようになり、その癖はいまも抜けないのだという。

【次ページ】 「お前にはカーブが足りない」

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