電撃トレード・秋広優人の“今”「まるで吉田正尚のフォームに変化」ソフトバンク監督、GMに直撃「ホームランか打率か？」城島健司CBOが出した“指示” 

　現時点で動作解析が済んでおらず、秋広自身に答えを求めるのは拙速に過ぎる。

それでも強く振ってほしい…

　ただ、ソフトバンク移籍から1カ月が過ぎ、改めて秋広のフリー打撃を凝視してみると少し変化を感じる。バットスイングが大きく見えるようになったのだ。さらに言えば、ボールをミートした後のフォロースルーがとても大きくなった。背格好が違うが、吉田正尚（レッドソックス）のそれに近いように思う。さらに古い例えならば門田博光（元南海など）を想起させた。

　秋広は「特に意識は変えていない」と言いつつも、話を進めると「ちょっと強い打球を打とうとは思うようになりました」とも答えた。一方で、そんな風に話すと、またホームランを要求されるのではないかという自己防衛が働いた口調のようでもあった。

ADVERTISEMENT

「僕、ホームランを打とうと、打球に角度をつけようとしておかしくなったんです」

「ちょっと強い打球を打とうとは思うようになりました」 ©JIJI PRESS

　秋広優人というポテンシャルの宝は、果たしてソフトバンクでどんな野球人生を歩むのか。

　ただ、これだけは言わせてほしい。ソフトバンクの「強く振る」伝統の根源にある、王貞治球団会長の「練習では背骨がバキバキ鳴るくらい振れ」「昨日よりも1ミリでも遠くに飛ばせ」との教えは実践してみてはどうか。王会長は単にホームランを要求していたわけではない。試合になれば相手投手に合わせて打撃をしなければならないため、練習のような自分のベストスイングはできなくなる。「試合では80％のスイングしかできない。練習で120％で振っておけば、試合で振れる力も強くなっていく」との持論に基づいた助言だった。

　秋広はまだ22歳。ファンに大きな夢を与えるスケール感抜群の野球選手を目指してほしい。ただただそう思うのである。