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野球のぼせもんBACK NUMBER
電撃トレード・秋広優人の“今”「まるで吉田正尚のフォームに変化」ソフトバンク監督、GMに直撃「ホームランか打率か?」城島健司CBOが出した“指示”
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph byJIJI PRESS
posted2025/06/13 06:02
電撃トレードから1カ月。ソフトバンク秋広優人が奮闘している
「組織の拡充に伴ってお手本にしたのは、マイナー組織が巨大な米球界でした」
コーディネーター制度は米球界では一般的に見られる構造。現場のコーチ陣とフロントの経営陣を繋げる役割を担う。そして、この制度によって選手育成や指導方法に一貫性を持たせることが可能となる。「学校に例えると、各軍の担当コーチが学年の担任の先生で、コーディネーターは教科担当みたいな感じです」とは三笠GMの説明だ。
それを踏まえて、話を秋広に戻そう。
ソフトバンクの“意外な”育て方
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三笠GMは「秋広選手については、2つポイントがあると思っています」という。
まず1点目。今後どのようなタイプを目指すかについては科学的根拠に基づいた分析をする必要があると考えている。もともとはソフトバンク入団会見してすぐに球団のファーム施設でモーションキャプチャーを用いた動作解析を行う予定だったが、移籍後まもなくから一軍でプレーをしているため実施に至っていない。「しっかり分析を行ったうえで、現状について本人にも情報などを提供するのが大事」とした。
そして2点目。そのデータなどに基づきどんな選手を目指すのか、それを決めるのは秋広本人だということを三笠GMは強調した。
「我々はデータを提示します。そのうえで選手が自分自身で考え、自分で決断を下すプロセスが大事じゃないかと考えているのです。秋広選手に限らず、我々は選手の主体性を大事にする組織になっていきたいと思っています。表現が難しいのですが、日本の野球界には一つ課題があると考えていて、子どもの頃から自分で考えたり、自分がこうしたいとかこうなりたいとか発信したりする力が他のスポーツに比べると少し弱いように感じるのです。ただ、特にプロは個人事業主ですから。自主性や自己表現を養うことはとても大切なことだと考えているのです」
実際、主に打撃を担当する関川浩一コーディネーターや、動作解析に基づいた視点から技術的な指導や助言を行う長谷川勇也スキルコーチらに取材をしても「我々がどうこう言う前に、まずは秋広本人がどうなりたいか。それを最優先に考えている」と声をそろえた。もう少し掘り下げると「城島CBOから『秋広の好きなようにやらせるように』と」指示が出ていることも分かった。

