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野球のぼせもんBACK NUMBER
電撃トレード・秋広優人の“今”「まるで吉田正尚のフォームに変化」ソフトバンク監督、GMに直撃「ホームランか打率か?」城島健司CBOが出した“指示”
posted2025/06/13 06:02

電撃トレードから1カ月。ソフトバンク秋広優人が奮闘している
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
JIJI PRESS
今年5月に巨人からソフトバンクへ移籍した秋広優人は、誰がどう見ても逸材に違いない。現役日本人選手で最も大きい身長2mの体躯を誇り、2023年シーズンには高卒3年目の若さながら121試合に出場して規定打席まであとわずかの439打席に立ち、打率2割7分3厘と2桁本塁打となる10ホーマーという成績を残している。
また、巨人時代は松井秀喜の背番号55を与えられたこともありホームランバッターとしての未来予想図を描く声が多くを占めた。だが、秋広は自身を「中距離バッター」だと認識している。ホームランよりも率。試合前のフリー打撃を見てもスイングは決して豪快とは言えない。どちらかといえばミート力を磨いているように映った。
しかし、ソフトバンクは伝統的に「強く振る」ことを推奨されるチームだ。
小久保監督「俺が決めることじゃない」
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チームを率いる小久保裕紀監督もそうやって現役時代を戦い抜き、またその甲斐あって輝かしい実績を残せたとの自負もある。
そんな現場のトップが、秋広の未来に何を求めるか。
「それは俺が決めることじゃないよ」
答えは明確であるはずだと質問をぶつけたものの、小久保監督からはイエスでもノーでもない予想外の答えを返されたのだった。
「たしかにミート中心のバッティングには見える。彼が本当にアベレージヒッターでいいのか。今後に向けてどんなアプローチがいいのか」
そんな思案を巡らせながらも、小久保監督は淡々と次のように続けた。
「ただ、それは俺が決めることじゃない。コーディネーターを中心に球団として方針は決めていく。だって秋広もそうだけど、普通に考えたら選手よりも俺が監督をやめる方が先でしょ。そんなに長くいないポジションの人間が若手の育成方針を決めるのはおかしい。これが組織というもの。彼がどうすれば一番輝けるのかは、フロントが議論していくのがいいのです」
選手の“育て方”…誰が決める?
小久保監督はさらりと言ってのけたが、それは従来の球界の常識には当てはまらないものだといえる。また、ソフトバンク以外の球界関係者にすれば驚きをもって受け止められるに違いない。