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落合博満「浅尾で打たれたらしょうがない」中日・浅尾拓也コーチ40歳の今…忘れられない落合監督のコメント「落合さん、僕には何も言わないんです」
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佐藤春佳Haruka Sato
photograph byHirofumi Kamaya
posted2025/06/07 11:06
中日ドラゴンズ、浅尾拓也・投手コーチ(40歳)。現役引退翌年の2019年から二軍の投手コーチを務め、今季から一軍に昇格
「とにかく疲れを取らなきゃ、って。でも毎日使っていた自転車を1、2カ月放置したら錆びてくるじゃないですか。何か少しでも体を動かして肩を回すなどしておけば良かった。それを今の選手たちは分かっていて、ウエートやトレーニング、ストレッチなどちゃんとケアしているんですよね。今思うとそこは自分のやり方が間違っていたと後悔しているんです」
コーチになった今だからこそ浮かんできた、あの時の“後悔”。
「ありますね。この時代に生まれていたら、こうしたな、とか。振り返ると自分が怪我をした原因も、ジャパンに選ばれるかもしれないという時があって、休んでいたところから急ピッチで肩を作り上げようとしてしまったこともあったんです。あの時、少しずつでもやっておけば良かったのかな、とか。結果論ですけどね。でも今の選手たちはこちらが何も言わなくても自分たちでやっているんです。そういう面では安心して見ています」
“昭和生まれ”浅尾コーチの距離感
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34歳になるシーズン限りで現役引退を決めた。以降、翌2019年から投手コーチを務め、昨年まで6年間、二軍で若い選手たちを見てきた。ここ10年間で野球のデータ化はさらに進み、選手たちはスマホ一つでさまざまな情報を手に入れることができる。“昭和的”な猛練習や根性論は通じず、指導者にとっては「教えづらい」時代と言われる。ギリギリ昭和生まれ(昭和59年)の浅尾コーチは若い選手たちをどのように見ているのか。
「はっきり言って、今の選手は色々なところに勉強しに行ってるんですよ。自分たちも勿論、勉強はしているつもりですけど、コーチが『教える』ことで逆にやらない選手も多いと思う。基本的には選手それぞれがやりたいようにやればいいと思う。ただ、どこで何を学んだか、何を目指して取り組んでいるのか、ということはきちんと聞いています。それを否定はしないし、いい時は『その方法でいいんじゃないの』って。ただ、どう見ても違う方向に行った時には止められるようにと思っていますね」
落合監督時代「練習時間も走る量も、全然違いましたね」
浅尾コーチ自身は、厳しい上下関係と猛練習で育ってきた世代だ。当時の中日は12球団の中でも“軍隊式”で知られ、特にプロ入りした2007年から11年まで指揮を執っていた落合博満監督時代の練習量は随一だった。


