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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「身長2m超、パキスタン出身」NPB球団スカウトも注目…佐賀アジアドリームズのエース候補とは何者か?「佐々木朗希のピッチングを研究しています」
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph byYasushi Washida
posted2025/05/25 17:41
NPB球団も密かに視察しているという佐賀アジアドリームズのエース候補ムシャラフ・カーン投手(左)
「初めて日本に来ましたが、何の問題もなく自分は幸せですし、神様に感謝しています。日本は指導者が素晴らしいし、とにかくレベルアップできる環境が整っているのが自分にとっては最高です。夢は立派な野球選手になること。寮では自分と体型が似ているローキ・ササキ(ロサンゼルス・ドジャースの佐々木朗希投手)のピッチングをテレビで見て研究しています」
パキスタンにいたら野球は楽しむものでしかなかった。プロになってお金を稼げるようになるとは夢にも思っていなかった。しかしアジアドリームズが、そこに夢(ドリーム)を届けたのである。
5年経てば「他の独立リーグはどこも勝てなくなる」
実は同じようにクリケットが国民的スポーツのインドにも、身長2m越えの剛球投手がいる。その選手はアラブ首長国連邦のドバイに生まれたプロ野球リーグ「ベースボール・ユナイテッド」と契約を交わしているが、同リーグの先行きが不透明なこともあって、アジアドリームズも獲得の可能性を模索しているところなのだという。
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「このチームはプロとして去年は1。今年はやっと3くらいになってきたかな、と。それでもヘタしたら5年経てば、他の独立リーグはどこも勝てなくなると思います」
香月監督はこう断言する。
「いまいる選手たちもレベルアップしますし、東アジア、西アジアの国々にはナショナルチームがあって、ここに来ていない子たちで、すごく才能のある選手がいっぱいいるんです。彼らはまだ日本のリーグに半信半疑。でも、『本当にここで勝負できるんだ』『お金を稼げるんだ』『ドリームズに入ってNPBやMLBに行けるチャンスが広がるんだ』って分かれば、そういう選手がどんどん増えてくる。そうなったら、他の独立チームは勝てないと思います」
それがアジアの野球の発展に繋がり、野球そのもののアジア各国への普及ともなるはずなのである。
佐賀から開いたアジアへの野球の扉。
それは日本の野球にとっても、“金の卵”の新たなる供給源となる可能性を秘めている。
<前編から続く>

