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巨人“じつは山川穂高のトレード獲得”を狙っていた…「なぜ消えた?」元編成・岡崎郁が明かす巨人FA戦略の10年前…糸井嘉男をめぐる“阪神との争奪戦”
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岡野誠Makoto Okano
photograph byJIJI PRESS
posted2025/05/26 11:01
ソフトバンク山川穂高の西武在籍時代、じつは巨人がトレード獲得を狙っていた
「山川(穂高)が西武で埋もれていた。絶対に伸びると思ったから、堤さんに推薦しました。そしたら、話を持ち掛けてくれました。この先は聞いた話ですが、交換相手に中井(大介)を要求されたらしいです。でも、『中井は出せない』と消滅したそうです」
巨人は大魚を逃した。山川は1年目の14年こそ一軍で2本塁打を放ったが、翌年はわずか1試合の出場に留まっていた。中井は15年4月29日の中日戦で「第83代4番」に抜擢された。だが、“幻のトレード”の後、中井は伸び悩み、山川は本塁打王4回のスラッガーに成長した。
糸井嘉男の獲得に動いていた…
もう1つの編成の仕事に、FA選手の調査がある。野手の担当だった岡崎は1年間、日本ハムの陽岱鋼とオリックスの糸井嘉男をチェックしていた。両選手のどんな所を見たのか。
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「技術、ケガの有無はもちろん、巨人にマッチする性格かどうか。つまり、自分よりチームを優先できるか。自分勝手な選手だと、ジャイアンツではやっていけません」
岡崎は「陽も糸井も大丈夫」と考え、堤GMに推薦した。
「獲得するかは、基本的にGMが決めます。ジャイアンツの場合、監督には必ず相談をしますね。2人は甲乙つけがたい選手でしたし、両方とも獲れれば良かったんでしょうけどね」
糸井は、巨人に傾いていたと後年明かしているが、金本知憲監督の熱烈な誘いを断り切れず、阪神に移籍。陽岱鋼はオリックスとも交渉したが、巨人と5年15億円で契約。このオフ、巨人はDeNAから山口俊、ソフトバンクから森福允彦もFAで獲得した。
人的補償リスト「トップシークレットです」
人的補償では平良拳太郎がDeNAに移籍した。岡崎はリスト作成に関わったのだろうか。
「参加してないです。たぶん、プロテクトのリストは一軍監督とGMの2人で決めると思います。僕は二軍監督の時も、編成の時も知らされなかった。情報って、人が多いと漏れる可能性が高くなる。そうなった場合、疑われるのも嫌だし。逆に入りたくないですよ(笑)。ジャイアンツに限っては監督とGM。そこに、社長や代表が入るかどうか。そのくらいのトップシークレットです」
補強はうまく行かなかった。


