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「清宮幸太郎か、村上宗隆か?」元巨人スカウト部長がいま明かす“怒られた”ドラフト…じつは指名チャンスあった周東佑京「欲しかった」なぜ断念した?
posted2025/05/26 11:02

2017年ドラフト会議で7球団競合の末、日本ハムに入団した清宮幸太郎
text by

岡野誠Makoto Okano
photograph by
Takuya Sugiyama
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高橋由伸監督のもと2位に終わった2016年オフ、11年間務めた山下哲治に代わって、岡崎郁がスカウト部長に就任する。
「巨人には北海道から九州まで、各地区の担当スカウトがいます。当時、チーフなどを含め10人いました。ドラフトが終わるとすぐ、翌年の候補リストが出ます。180人くらいいたかな。部長も現地に足を運んで、できる限り多くの選手をチェックします。日々全国を回りながら、特A、A、B、Cとランク付けをしていきました」
2017年ドラフト“BIG3”「ダントツ清宮でした」
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17年の目玉は清宮幸太郎(早実)、安田尚憲(履正社)、村上宗隆(九州学院)の“高校ビッグ3”だった。甲子園では清宮が1年夏に2ホーマー、3年春にも出場。安田は2年夏に3回戦進出、3年春に準優勝。村上は1年夏の初戦敗退のみに終わっていた。
「評価の高さはダントツで清宮でしたね。次が安田で、村上は3番目。僕と福王(昭仁スカウト)は村上を推していた。1番や3番を打っていて、俊足だったんですよ。つまり、股関節の回転数が速いから柔軟性が高いし、体幹も強い。簡単に言えば、運動神経がいい」
なぜ、スカウト部長の岡崎が推しているにもかかわらず、巨人は村上を指名しなかったのだろうか。
「ちょうど、球団として戦略を変えた頃だったんです。以前は一本釣りの作戦を取っていた。でも、周囲からの批判もあって、最も評価の高い選手を指名する方針に転換していた。(会議で)そう言われると、やっぱり清宮だなと。『地方大会で負けたけど、この選手のほうが良い』と言っても、なかなか押し切れない面もある。甲子園での活躍って、どうしても印象に残っちゃうんですよね」
巨人ドラフトの路線変更…なぜ?
前年、巨人は1位で田中正義、外れ1位で佐々木千隼をともに5球団競合の中、指名している。ともに抽選で外れたが、この年から明らかに作戦が変わっている。