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「清宮幸太郎か、村上宗隆か?」元巨人スカウト部長がいま明かす“怒られた”ドラフト…じつは指名チャンスあった周東佑京「欲しかった」なぜ断念した?

posted2025/05/26 11:02

 
「清宮幸太郎か、村上宗隆か?」元巨人スカウト部長がいま明かす“怒られた”ドラフト…じつは指名チャンスあった周東佑京「欲しかった」なぜ断念した?<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

2017年ドラフト会議で7球団競合の末、日本ハムに入団した清宮幸太郎

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岡野誠

岡野誠Makoto Okano

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Takuya Sugiyama

1980~90年代にかけて巨人の中心選手として活躍し、現役引退後は一軍ヘッドコーチや編成本部アドバイザー、スカウト部長など、巨人の要職を歴任してきた岡崎郁、63歳。岡崎がいま明かす、スカウト部長時代のドラフト秘話。【全3回の2回目/3回目へ】

◆◆◆

 高橋由伸監督のもと2位に終わった2016年オフ、11年間務めた山下哲治に代わって、岡崎郁がスカウト部長に就任する。

「巨人には北海道から九州まで、各地区の担当スカウトがいます。当時、チーフなどを含め10人いました。ドラフトが終わるとすぐ、翌年の候補リストが出ます。180人くらいいたかな。部長も現地に足を運んで、できる限り多くの選手をチェックします。日々全国を回りながら、特A、A、B、Cとランク付けをしていきました」

2017年ドラフト“BIG3”「ダントツ清宮でした」

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 17年の目玉は清宮幸太郎(早実)、安田尚憲(履正社)、村上宗隆(九州学院)の“高校ビッグ3”だった。甲子園では清宮が1年夏に2ホーマー、3年春にも出場。安田は2年夏に3回戦進出、3年春に準優勝。村上は1年夏の初戦敗退のみに終わっていた。

「評価の高さはダントツで清宮でしたね。次が安田で、村上は3番目。僕と福王(昭仁スカウト)は村上を推していた。1番や3番を打っていて、俊足だったんですよ。つまり、股関節の回転数が速いから柔軟性が高いし、体幹も強い。簡単に言えば、運動神経がいい」

 なぜ、スカウト部長の岡崎が推しているにもかかわらず、巨人は村上を指名しなかったのだろうか。

「ちょうど、球団として戦略を変えた頃だったんです。以前は一本釣りの作戦を取っていた。でも、周囲からの批判もあって、最も評価の高い選手を指名する方針に転換していた。(会議で)そう言われると、やっぱり清宮だなと。『地方大会で負けたけど、この選手のほうが良い』と言っても、なかなか押し切れない面もある。甲子園での活躍って、どうしても印象に残っちゃうんですよね」

巨人ドラフトの路線変更…なぜ?

 前年、巨人は1位で田中正義、外れ1位で佐々木千隼をともに5球団競合の中、指名している。ともに抽選で外れたが、この年から明らかに作戦が変わっている。

【次ページ】 浴びた批判「巨人のスカウトは馬鹿なのか?」

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