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「イシカワは英雄」「“死闘”を楽しんでいた」イタリア紙も絶賛…29歳石川祐希が日本男子バレー史上初“欧州CL制覇”「本当にうれしくて感動しています」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byHarun Ozalp/Anadolu via Getty Image

posted2025/05/21 11:08

「イシカワは英雄」「“死闘”を楽しんでいた」イタリア紙も絶賛…29歳石川祐希が日本男子バレー史上初“欧州CL制覇”「本当にうれしくて感動しています」<Number Web> photograph by Harun Ozalp/Anadolu via Getty Image

チャンピオンズリーグでペルージャの初優勝に貢献した石川祐希(29歳)。日本人男子として初めて栄冠を手にした

 CEVチャンピオンズリーグはその名の示す通り、欧州列強各国の上位チームと過酷な予選を勝ち上がったクラブのみ出場できるハイレベルな大会で、モデナやパルマ、CSKAモスクワといった歴代勝者はいずれも世界のバレー史に名を残す偉大なチームばかりだ。

 2001年にジノ・シルチ会長の下で勃興し、数々のタイトルを積み上げて強豪に成り上がったペルージャにとって、CLは最後に残った悲願のタイトルだった。だがそびえ立つ壁は高く、2021年夏に移籍してきたジャンネッリが「入団したその日からファンに『CLで優勝してくれ』と請われ続けてきた」と回顧する通り、ペルージャの町は欧州制覇の夢と野望を宿痾のように抱えてきた。パリ五輪後に入団してきた石川にも、自分はタイトル獲得への切り札として呼ばれたのだという自覚はあったはずだ。

 昨夏の取材時、石川の穏やかだった表情に、ぱっと赤みがさした瞬間があった。

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「CLで優勝した日本人男子はいないですよね」と問いかけてきた。こちらが確認すると、意を込めて続けた。

「歴史を動かすじゃないですけど、CLで優勝できれば日本人として世界に名を刻む、ヨーロッパに名を刻むことになる。新しいこと、今まで誰もやってないことを僕はやりたいと思っています」

 半年の間にフランス、トルコ、チェコを股にかけ、ポーランドへ乗り込んだ。欧州中のコートで跳び、打ち、拾い、また打ち続けた果てに彼は王者になった。石川は歴史を動かしたのだ。

日本とペルージャの不思議な縁

 実はCLと日本、そしてペルージャは不思議な縁でつながっている。

 2009年3月29日、女子セリエAの強豪ベルガモに所属していた荒木絵里香が日本人として初めてCEVチャンピオンズリーグに優勝した。その決勝戦の舞台となり、荒木が欧州女王となった場所こそ、現在石川が日々練習を重ね、ホーム試合会場とする「パラ・バルトン」なのだ(※当時の名称は「パラ・エヴァンジェリスティ」)。昔も今もペルージャはバレーの町で、欧州王者となった石川らは帰国後、21日にも市庁舎を表敬訪問し、市民へ大勝利を報告する予定だ。

 石川は日本バレー史に新たな栄冠を書き加え、また一つ、ステージを駆け上がった。

 大願成就を果たした我らが日本代表キャプテン。かくも力強く、かくも頼もしい。

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