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「イシカワは英雄」「“死闘”を楽しんでいた」イタリア紙も絶賛…29歳石川祐希が日本男子バレー史上初“欧州CL制覇”「本当にうれしくて感動しています」 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byHarun Ozalp/Anadolu via Getty Image

posted2025/05/21 11:08

「イシカワは英雄」「“死闘”を楽しんでいた」イタリア紙も絶賛…29歳石川祐希が日本男子バレー史上初“欧州CL制覇”「本当にうれしくて感動しています」<Number Web> photograph by Harun Ozalp/Anadolu via Getty Image

チャンピオンズリーグでペルージャの初優勝に貢献した石川祐希(29歳)。日本人男子として初めて栄冠を手にした

 MVPと優勝を勝ち取ったイタリア・スーパー杯の後、シーズンの序盤から全勝街道を走ったが、年明けからチームと自身は失速。コッパイタリア準決勝で敗退し、連戦から不調をかこった。クラブに対し、一部の厳しい地元ファンからは「負け方が悪い」「目標達成に不向きな選手がいる」といった不満の声も上がった。

 レギュラーシーズンを首位と僅差の2位で終え、連覇に挑んだセリエAプレーオフは準々決勝を順当に突破。だが、強敵チヴィタノヴァに2戦先勝し決勝進出に王手をかけながら大逆転負けを喫した準決勝敗退はチーム全体に大きなショックをもたらした。

 土壇場だった。石川はこの窮地に奮起した。ピアチェンツァとの3位決定戦で攻撃を牽引し、来季CL出場権を手繰り寄せた。同僚のOHカミル・セメニウクやベテランリベロ、マッシモ・コラーチらは皆一様に「3位を勝ち取ったことでスクデットを逃したショックからメンタルを回復させることができた」と口を揃えている。

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 勢いにのった石川はCLファイナル4決戦の地ポーランドに乗り込むと、準決勝アンカラ戦で19得点と爆発、ペルージャに8年ぶりのCLファイナルをもたらし、雄叫びを上げた。

死闘を楽しんでいるようだった

 ザビエルチェとの決勝でも第1セットから会心のアタックを連発。開幕当初、セットのタイミングを合わせづらいと苦心していたのが嘘のように石川は司令塔シモーネ・ジャンネッリと呼吸を合わせ、スパイクを相手コートに突き刺すたびに2人は互いの胸を強く突き合わせた。

 1万人を越す地元大観衆による圧倒的な敵地ムードの中で、石川はタイブレークの修羅場に笑い、ウインクをしながら仲間と拳を握った。マッチポイント・サーブの重圧にも臆することなく、相手コートへ叩き込んだ。

 かつてないほどのハイレベルな困難を乗り越えて、ウッジでの石川は死闘を通じてバレーを楽しんでいた。

【次ページ】 「CL優勝した日本人男子はいないですよね」

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