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深津三兄弟の“お兄ちゃん”が初の大舞台へ! 35歳セッター深津旭弘の遅れてきた全盛期「石川や藍とか若い選手のおかげで…今が一番いい」
posted2023/06/09 11:02
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph by
Yuko Tanaka
バレーボールネーションズリーグ初戦でイランに3-0とストレート勝ちした男子日本代表。その第1セット、21対11と日本が10点のリードを得た場面で、出番が巡ってきた。
与えられた時間は最大で3ローテ。限られた出番でも着実に役割を果たそうと、35歳のセッター深津旭弘は手首や肩甲骨を入念にほぐしてコートへ向かった。
代表チームへの合流が遅れていた石川祐希、髙橋藍らアタッカー陣とのコンビネーションに対し、「まだまだこれから」と漏らしていたが、そんな不安は杞憂に終わる。
背番号3の高く伸びのあるトスをライトから髙橋がストレートに決めて日本に22点目が加わった。続けて髙橋のサーブからチャンスを得ると、深津はレフトへ。今度は石川が3枚ブロックを打ち破り、23点目をもぎ取った。満員の日本ガイシホールに深津の気迫がこもった声が響く。
「とにかく自分のプレーをしっかりすること。自分のパフォーマンス、持っているエネルギー、人間的な部分も全部出すことがチームのプラスになるなら、チームのために貢献したい。そのためにもとにかくまずはプレーでどれだけ通用するかだと思うので、まずはそこです」
「僕のピークは、パリですから」
深津の立ち位置はメインセッターではなく、セカンドセッター。試合で上げるトスは数えるほど。だが、一本、一本に魂を込めることに変わりはない。
そんな姿勢は、数年前、冗談半分で発していた目標を着実に手繰り寄せている。
「僕のピークは、パリ(五輪)ですから」
チーム最年長の35歳のオールドルーキー。円熟味を増した今、ようやく巡ってきたチャンスを噛みしめながら思う。冗談ではなく、まぎれもなく彼のピークはパリ五輪へと向かう今、これからだ、と。