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「ホームランバッターに見られがちですけど…」“2mの長身”秋広優人が語った“意外な持ち味” 電撃トレード・巨人→ソフトバンクで追い求める“打率”
text by

鷲田康Yasushi Washida
photograph bySNAKEI SHIMUBUN
posted2025/05/18 17:00
巨人からソフトバンクにトレード移籍した秋広優人。新天地で初安打を放った
以前にこのコラムで秋広には駒田徳広・三軍監督の現役時代のようなバッターを目指して欲しいという思いで、その昔話を書いたことがあった。
秋広の2mには及ばないが、駒田監督も身長191cmで当たれば打球は飛んだ。当時の王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)に“後継者”と見込まれ、自らを育ててくれた荒川博さんの“荒川道場”に送り込まれたが、最終的には通うのを止めてしまった。
駒田監督は決してホームランバッターではなかった。それでも巨人、横浜と合わせてプロ20年間で5度の3割をマーク。92年には27本塁打を記録し、通算195本塁打、357二塁打を放って98年にはベストナインも受賞する一流選手となった。
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そんな駒田さんに、自分の現役時代と同じような境遇の秋広へのアドバイスを求めた時に語っていた言葉が印象に残っている。
「30本、40本を目指すんじゃなくて、まず20本打ってみ、ということだと思うんですね。3割以上打ったら、多少、本塁打が少なくてもジャイアンツファンは推してくれるよ。それで秋広も3割、20本を打てた景色を見たら、自分がそこからプラスアルファをどうやっていけばいいか、思考も変わるよ」
そこを目指せるポテンシャルがあると駒田監督も見ているということだった。
打率を残せるバッターを目指して
ソフトバンクでは当初は二軍でスイングデータの計測などを行った上で、じっくり起用方針を決めていく予定だった。ところが打撃練習を見た首脳陣の判断で、入団会見翌日の15日には一軍登録。その日の西武戦に「6番・左翼」で先発出場すると初安打もマークした。
ホームランバッターにならなければならないという重い十字架を背負い続けた巨人での4年余から、新天地では「自分が自信ある」打率を残せるバッターを目指して秋広は再スタートを切っている。
ボテボテのゴロが中前に抜けたソフトバンクでの初ヒット。3割を打つためにはラッキーも必要だとすれば、自分の思う理想のバッターに向かっていいスタートを切れたと思う。

