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「数字よりフルスイング」“身長2m、体重100kg”巨人・秋広優人が“決意の宣言” 思い出すのは“満塁男”駒田徳広…王貞治の教え子が語る秋広への助言
posted2024/12/31 11:05
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
SANKEI SHIMBUN
一皮剥けたのではないか。そんな期待を抱かせる異国での活躍劇を見せたのは、巨人の秋広優人内野手である。
11月7日に日本を発ってオーストラリアで行われているウインターリーグに参加。現地では23試合の出場で打率3割2分1厘、2本塁打、8打点という成績を残してきた。
秋広といえばプロ3年目の23年シーズンに一軍にデビューすると、121試合で打率2割7分3厘の10本塁打をマーク。一躍、期待の星として注目を集めたのは記憶に新しい。しかし24年は“2年目のジンクス”もあったのか、期待とは裏腹に伸び悩んでまったく結果を残せないままにシーズンは終わってしまった。そんな中での豪州武者修行だっただけに、残した数字は来季の飛躍のきっかけにしなければならないものだった。
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身長2m、体重100kgという恵まれすぎた体躯から生まれるパワーは、もちろん魅力だ。打撃練習でも当たった時には東京ドームの外野スタンド上段に打ち込む“飛ばす力”は天性としか言いようがない。そこに前任の原辰徳監督も、そして現在の阿部慎之助監督も惚れるのである。
「あんなバッティング……全く何の魅力も感じなかった」
9月16日の中日戦。先発で起用しながら2打席凡退に倒れた秋広のバッティングに、阿部監督がこう厳しいコメントを発したのを覚えているファンも多いだろう。スイングできていない。腕使いが柔らかく、色んなボールに対応できるのも秋広の長所でもある。だがそれゆえにフルスイングしないで、ただ合わせにいっているように見える打撃に監督は苦言を呈した形だった。
もちろんその言葉の背景には、二軍監督時代から目をかけてきた秋広の、スラッガーとしての能力に期待をするからに他ならない。そんな監督の評価を知るからこそ、渡豪前の契約更改後の会見で、秋広本人も決意のフルスイング宣言をした。
「まずは数字よりしっかりフルスイングするというところを一番やりたい」
ホームランバッターへの階段を上っていくという意気込みである。
ただ、そんな指揮官の育成方針とは相反してしまう考えもある。
恵まれた身体と溢れるパワーはあるが、それでは秋広が本当にホームランバッターなのか。決して阿部監督の育成方針に異を唱えるわけではないが、それだけが秋広の魅力を引き出す方法なのかということだ。
秋広を見て思い出す“あの選手”
実は秋広を見ていると、ついつい思い出してしまう過去の巨人の選手がいる。