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「NBAは本当に流動的なので…」24歳河村勇輝は愛着あるグリズリーズに残留できるか“運命の日”は「6月29日」カギを握るHCの存在
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宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byAP/AFLO
posted2025/05/13 11:04
グリズリーズとの契約は1シーズンだったため、来季の処遇は未定。愛着あるチームに残れるか、それとも……
どの形になるにしても、河村にとっては選択の夏となる。FAとして複数のオファーから選ぶことになった場合、何を優先して決めるのかは重要なことだ。
去年夏、いくつかのNBAチームからオファーが来たなかでグリズリーズを選んだときには、その理由として河村は「一番熱意があった。ジェイコブ・ギルヤード選手(23-24シーズンにグリズリーズに所属していた身長173cmのガード選手)のような選手になってほしいと具体的な話もあり、ビジョンが見えた」と語っている。
実際にグリズリーズで1シーズン過ごしてみて、グリズリーズでよかったと思った面があった一方で、グリズリーズの戦術や、特にシーズン終盤でのハッスルでの使われ方など、思っていたのとは違った面もあった。その経験をしたからこそ、次に選択するときに考えたい基準があるとしたら何なのだろうか。
「PGを必要とする戦術ではなかった」
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グリズリーズのシーズンが終わった後のオンライン会見で、河村にそう聞いてみた。
すると、河村は「NBAは本当に流動的で、すぐに状況が変わってしまうっていう難しさもあると思うんですけど」と前置きしたうえで、まず、グリズリーズで難しかった点を指摘した。
「今年のグリズリーズは、戦術も含め、メンバーも含め、ポイントガードが豊富で、さらに戦術も『ザ・純ポイントガード』を必要とするような戦術ではなかったっていうのもある。来季(の所属先)を決める上で、チームのメンバー構成だったり、戦術の考え方だったりっていうのをしっかりと理解した上で、いいチーム選びができればいいなと思っています」
河村は「豊富」と言ったが、今季のグリズリーズでいわゆる『ポイントガード』と位置づけされているのはジャ・モラントとスコッティ・ピッペンJr.の2人だけ。ポイントガードを3人抱えるチームも多いなかで、決して多いほうではない。
それでも、それに続く河村のコメントにあるように、ポイントガードだけがボールを運ぶとか、オフェンスを組み立てるようなシステムではなく、実際、モラントが故障欠場したときには、デズモンド・ベインやルーク・ケナードなど、ウィングの選手がポイントガードのような役割も果たしていた。逆に、ポイントガードのモラントやピッペンも、オフェンスの流れによってはボールに触ることなく、コーナーで待機するだけで攻撃が終わってしまうことも多かった。そういったシステムにおいて、河村自身、自分の持ち味を発揮することの難しさを痛感したシーズンだったのだ。

