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「NBAは本当に流動的なので…」24歳河村勇輝は愛着あるグリズリーズに残留できるか“運命の日”は「6月29日」カギを握るHCの存在
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宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byAP/AFLO
posted2025/05/13 11:04
グリズリーズとの契約は1シーズンだったため、来季の処遇は未定。愛着あるチームに残れるか、それとも……
NBAの世界がいかに変化の激しい世界なのかは、この1シーズン、グリズリーズとハッスルで過ごしただけでも痛感した。選手のトレードなどの入れ替えも何度もあったうえに、シーズン終盤でヘッドコーチ交代という出来事も経験したからだ。シーズンを通してグリズリーズを率いたテイラー・ジェンキンスHCが3月末に解任されたとき、レギュラーシーズンは残り9試合だった。アシスタントコーチだったトゥオマス・イーサロが暫定ヘッドコーチとなり、9試合とプレイオフ4試合を戦った。シーズン後、グリズリーズはイーサロを正式にヘッドコーチに任命している。
メンフィスに残ることを希望する河村にとって、これは悪くない変化だ。イーサロがヘッドコーチになってから、攻撃でピック&ロールを使う回数は増えており、ポイントガードをよりポイントガードとして起用する兆しが見られるからだ。
レギュラーシーズン終盤にイーサロのもとでプレーした河村は、イーサロについてこんな感想を語っている。
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「ヨーロッパの方(フィンランド出身)なので。ヨーロッパのバスケットってかなり日本に普及してきているので、もともとやっていた感覚がチームの中にもあるような感じはしている。そういった意味では、やりやすさはありますね」
イーサロHCも、河村の選手としての特性をよく理解しているようで、レギュラーシーズン最終戦後にこんなことを言っていた。
「ユウキはシステムのなかでプレーしながら、そのなかで彼自身を表現することによってすばらしいプレーを見せてくれる。そのいいバランスを見つけたときに、活躍する選手だ」
こんなコメントを聞くと、イーサロHC率いるグリズリーズで河村がどんなプレーを見せ、どんな成長をするのか、見てみたくなる。
とはいえ、河村も言うようにNBAは、まっすぐ進んでいるように見えていた道が、突然急カーブしたり、絶壁だと思っていたところになだらかな道が現れるような、そんな世界だ。これまで、その時々に自分にとって最善の道を選んできた河村が、どんな夏を送り、NBAから投げかけられた変化球にどう対応し、来シーズンをどこで迎えるのか。楽しみに見守りたい。
〈全2回→前編からつづく〉

