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「別人格が降りてきた」名人・藤井聡太に挑んだ永瀬拓矢の“変貌”「一時は評価値でリードも」藤井の桂馬が飛行機のように…羽田空港で見た“2人の物語” 

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いしかわごう

いしかわごうGo Ishikawa

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posted2025/05/07 11:29

「別人格が降りてきた」名人・藤井聡太に挑んだ永瀬拓矢の“変貌”「一時は評価値でリードも」藤井の桂馬が飛行機のように…羽田空港で見た“2人の物語”<Number Web> photograph by Number Web

研究に研究を重ねて藤井聡太名人に挑んでいる永瀬拓矢九段

「6六桂に6三金の予定でしたが、6五銀がそうですね……まずかったんですね」

 局後の永瀬の反省の弁だ。

「まるで飛行機のように…」藤井聡太の桂馬が跳ねた

 ここから一気に激しい戦いとなり、決着をつけにいく攻防が始まる。攻める永瀬に対し、的確に応戦しながらチャンスを掴んだ藤井がリードを広げていく。長かった我慢比べの先に掴んだ好機。こうなると、藤井は無類の強さを発揮する。

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 そして111手目。6六に打ち込んでいた藤井の桂馬が5四と跳ねた。王手である。

「詰めろ」がかかるわけではない。だが長く拮抗していた展開を思うと、駒を飛び越えていく動きを見せる盤上の桂馬には、力強い躍動感があった。まるでジェットエンジンをふかして離陸する飛行機のようだ。

 熱戦はその後も続いたが、一度リードを奪った藤井の優勢は揺るがなかった。

 藤井の141手目で勝敗が決する。永瀬は顔に手を当てた後、ガックリとうなだれている。そして21時27分、挑戦者は頭を下げた。

 主催社からの質問が終わると、時間は22時に差し掛かっていた。

 前日午前9時の対局開始から、約37時間。当然ながら、両者ともに疲労困憊のはずである。しかし、その後の感想戦は1時間を超えて行われた。

 時おり笑顔を交えながら見解を交わす。対局後なので言葉でのラリーも続くが、将棋を深く追求しようとする互いへの敬意は変わらない。2人の物語は、これからもずっと続いていくのだろうと感じさせられた。

 こうして羽田空港対局は幕を閉じた。対局室の窓から滑走路が見える景色について、藤井は「リフレッシュしながら対局することができた」と話していた。

 第3局は5月9日と10日に行われるが、今度の舞台は大阪府泉佐野市の「ホテル日航関西空港」。またしても空港対局となる。

 空へと飛び立つ飛行機を眺めながら、両者は盤上でどんな一手を見つけるのだろうか。

<前編とあわせてお読みください>

#1から読む
藤井聡太と永瀬拓矢の名人戦「関係者はソワソワ」GWの羽田空港に“2人だけの異空間”…取材記者が見た舞台裏「飛行機を止めてくれと言われるかと(笑)」

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