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「44試合は多すぎる」SVリーグ優勝監督が本音…なぜ苦言を? 大阪マーヴェラスがバレー界に投じた一石「女子バレーが強くなるために何が必要か」 

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田中夕子

田中夕子Yuko Tanaka

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posted2025/05/07 11:05

「44試合は多すぎる」SVリーグ優勝監督が本音…なぜ苦言を? 大阪マーヴェラスがバレー界に投じた一石「女子バレーが強くなるために何が必要か」<Number Web> photograph by SV.LEAGUE

大阪マーヴェラスをSVリーグ初代女王の座に導いた酒井大祐監督(43歳)

 まず、酒井が選手に求めたのは「ミスを恐れず、トライすること」という意識改革だった。

 マーヴェラスは過去5年でリーグ優勝は2回を数え、昨季も優勝こそ逃したがレギュラーラウンドを無敗で終えている。林琴奈や田中瑞稀といった日本代表経験者も揃う強豪に変化を加えることは決して容易なことではない。ただ、練習時から明らかな変化があった。リベロの西崎愛菜が証言する。

「今までは、できなかった時に“いかにミスをなくすか”という発想だったから、練習は“できるまでやる”。でも酒井さんは、たとえばミスをしてもそれが必要なチャレンジだったら『ナイストライ』と言ってくれたので、次こそもっとうまくいくように頑張ろう思えるので挑戦しやすい。ミスに対する怖さや考え方がだいぶ変わりました」

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 叱責するのではなく、「次」を信じる。象徴的だったのが、シーズン中に多用した“2枚替え”だ。

 セッターとオポジットを同時に代える2枚替え、劣勢の流れを変えるメリットがある一方、リードした状況ではマイナスに転ずるリスクもある。だが、酒井監督はたとえ失点が続いても2枚替えを貫いた。

酒井監督の言葉で「肩の荷が下りた」

 シーズン中盤、2枚替えが機能せずに悩んでいたセッターの塩出仁美に、酒井は新たな気づきを与えた。

「どこに上げるかをセッターが一人で決めなきゃいけない、と考えるのは責任が重すぎる。だったら1回、スパイカーに向けて『打ちたい人!』って聞いてみてもいいんじゃない?」

 当時のやり取りを回想し、塩出が笑う。

「そんな感じでいいんだ、任せちゃっていいんだと思ったら肩の荷が下りた。選手目線に近いというよりも、まだ選手の発想をものすごく持っている監督だし、男子バレーって女子バレーよりもいい意味で遊びがあるじゃないですか。ちょっとぐらいミスしても、もっとチャレンジしようよ、という考え方が私にはすごく新鮮でした」

 この2枚替えが最も効果を発揮したのは、優勝を決めたファイナル2戦目だった。

【次ページ】 「ミスをしてもいいよ」「大丈夫、大丈夫」

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