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「毎日6~7時間クイズ漬け」でも現役で東大合格→医学部に…全国大会で初の中学生優勝“史上最強の天才少年”が「クイズの深淵」に落ちたワケ 

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別府響

別府響Hibiki Beppu

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photograph by提供:青木寛泰

posted2025/05/14 11:02

「毎日6~7時間クイズ漬け」でも現役で東大合格→医学部に…全国大会で初の中学生優勝“史上最強の天才少年”が「クイズの深淵」に落ちたワケ<Number Web> photograph by 提供:青木寛泰

学生クイズの頂点を決める大会「abc」を史上初めて中学生で制すなど、輝かしい成績を残してきたクイズプレーヤー・青木寛泰

クイズ漬けの生活で、東大理科Ⅱ類に現役合格

 そうして青木の実力は、どんどんと先鋭化されていった。

 高校2年時には「部の方針で半ば義務的に仕方なく」出場した『高校生クイズ』で優勝。開成高の3連覇の主力として活躍した。「『高校生クイズ』は純粋な競技力と違うので……」と本人が苦笑する一方で、その存在が一般にも認知されるきっかけにもなった。同様に、他の大会でも青木は勝ち続けた。

 結果がついてきたことで、それまでのクイズとの向き合い方が、青木の中で正当化された。

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 人よりどれだけ練度を上げられるか。どれだけクイズと向き合えるのか。それが青木にとっての尺度となった。

 例えば受験期に、青木がクイズから離れる時間があれば、そこには違う見方があったのかもしれない。だが、そんな猶予を得るには、青木の頭脳は優秀すぎた。

 結果的に青木は、そんなクイズ漬けの生活を続けながら東大の理科Ⅱ類に現役合格を果たす。受験直後にも関わらず、高3時のabcでは2度目の戴冠も果たして見せた。

 そして、2014年の4月、青木は本郷の赤門の下をくぐっていた。

「クイズが思う存分できる」という喜びと、ほんの少しの軋みを抱えながら。

<次回へつづく>

#4に続く
「死にそうじゃねぇかよ…」伊沢拓司が敗れた“本当の天才”…なぜクイズ界から消えた? “衝撃の引退宣言”全真相「青木は、強すぎたんです」
この連載の一覧を見る(#1〜4)

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