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“ほぼイップス”状態から3年「その球が打てるなら大丈夫」師匠ジャンボ尾崎の言葉を支えに…23歳西郷真央の激動ゴルフ人生
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田中宏治Koji Tanaka
photograph byAlex Slitz/Getty Images
posted2025/04/30 11:08
「シェブロン選手権」を制して米ツアー初優勝を飾った西郷真央(23歳)。恒例の池ダイブではマネージャーとTVレポーターを引き連れて勝利を祝った
プロ入り後はすぐに活躍を始めた西郷だが、高校3年の2019年6月「日本女子アマ」で優勝するまでは1学年上の古江や安田祐香、同じ高校の吉田優利らミレニアム世代の陰に隠れて目立った存在ではなかった。この優勝で推薦でのツアー出場の機会が急増。それまでは年に1試合出られるかどうかだっただけに、当初はどこか落ち着きがない、居場所を探しているような雰囲気だった。
同じ年の11月に行われたプロテストは制度変更の初年度だったため、ミレニアム世代と同時に初受験となった。ホールアウト後には「ショットはいいのにパットが……」と毎日のように涙を見せていたが、無事に合格。同学年の合格者は笹生優花、山下美夢有と西郷の3人だけ。今となってはこれ以上ない豪華な顔ぶれだ。
試合中は堂々として見えるが、不安や心配が尽きない性格。だからこそ、その不安を打ち消すためにストイックに練習やトレーニングに取り組むのだろう。アマチュア時代の細身の印象から一変して、今では体つきもがっちりしている。
落ち込む西郷に記者が掛けた言葉
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ルーキーだった2020-21年の統合シーズンは賞金ランク4位の活躍だったが、初優勝には手が届かなかった。2021年初戦の「ダイキンオーキッドレディス」は初日から首位を走っていたものの、最終日にスコアを落として4位タイ。西郷はショックが大きく、なかなかコース脇を離れようとしなかった。
当時スポーツ紙の記者だった筆者が「1試合で我々サラリーマンの年収分稼いだんだからそんなに落ち込まないでよ」と声を掛けると、「なんかそれリアル~」とあまり聞いたことのない10代の若者らしい言葉遣いで笑顔になったのが印象に残っている。今でもゴルフを離れれば、23歳の普通の女性なのだろう。ちなみに4位タイの賞金は660万円だった。

