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「日本ハムってどこにある球団?」社会人内定していた西崎幸広“まさかのドラフト1位”が「できて5勝」の評価から阿波野秀幸と新人王争いできたわけ
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元永知宏Tomohiro Motonaga
photograph byKazuhito Yamada
posted2025/04/30 11:02
社会人野球チームに内定して会社の席まで決まっていたという西崎幸広。プロで再会した阿波野秀幸と新人王争いを繰り広げることに
地元の社会人野球チームに内定も…
西崎は自身が立てた目標を達成し、日本一にもなった。それでもプロ野球に進むことを現実ととらえられていなかった。
「社会人野球のIBM野洲から内定をもらったので、そこで働くものだと思っていました。自分の地元・滋賀にある会社だし、外資系企業だし、初任給も月20万円は超えていたと思いますよ」
大学のラストシーズンで認知度が上がったとはいえ、ほかにもドラフト候補はたくさんいる。
「えっ、日本ハムってどこにあるの?」
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「熱心に声をかけてくれたのは阪神タイガースと中日ドラゴンズ。どちらも、ドラフト2位でという話でした。結局は『外れ1位』で日本ハムファイターズから指名されましたが、『えっ、日本ハムってどこにある球団?』というところからのスタートでした(笑)」
日本ハムは1981年にリーグ優勝を飾ったが、1984年からは3年連続でBクラスに沈んでいた。
「名前と顔がわかる選手があまりいなくて……もともとセ・リーグの試合しかテレビで見ていないわけですから。滋賀生まれで名古屋の大学にいたオレには、なじみのない球団でした。
外れ1位ということに関しては何とも思いませんでした。ドラフト1位は1位なんで、気にしたことはないですね」
明治神宮大会で優勝したとはいえ、西崎は全国的には無名だった。そのため、実力に疑問を持つ者も多かった。

