プロ野球PRESSBACK NUMBER

「日本ハムってどこにある球団?」社会人内定していた西崎幸広“まさかのドラフト1位”が「できて5勝」の評価から阿波野秀幸と新人王争いできたわけ 

text by

元永知宏

元永知宏Tomohiro Motonaga

PROFILE

photograph byKazuhito Yamada

posted2025/04/30 11:02

「日本ハムってどこにある球団?」社会人内定していた西崎幸広“まさかのドラフト1位”が「できて5勝」の評価から阿波野秀幸と新人王争いできたわけ<Number Web> photograph by Kazuhito Yamada

社会人野球チームに内定して会社の席まで決まっていたという西崎幸広。プロで再会した阿波野秀幸と新人王争いを繰り広げることに

「勝てて5勝」と言われて…

「身長180センチで66キロくらいのガリガリだったから、『これで大丈夫か?』と思われたんでしょう。春季キャンプに来た解説者の人に『この子が今年の1位か? もし勝てたとしても5勝だろうね』と言われたんです」

 即戦力として期待されるドラフト1位に対する評価としては厳しい。だが、本人の受け止め方は違った。

「オレ自身は、1年目に8勝できたらいいなと思っていました。次の年に10勝、その次が12勝、そのあとが15勝というように段階的に成績がよくなるのが理想だろうと。だから、解説者の評価が特に厳しいとは思いませんでした」

ADVERTISEMENT

 1年目のシーズン、はじめは中継ぎとしてマウンドに上がり、好投が認められてからローテーションを任されるようになった。

史上初の賞が西崎のために新設

「前半だけで4勝したんです。後半に4勝すれば、オレの計画通りだなと思っていたのにポンポン勝って、『あれ、やべえな』となりました」

 西崎は15勝7敗、防御率2.89でルーキーイヤーを終えた。

「シーズン途中から、ヒデ(阿波野)との新人王争いが話題になって、チームの中も『西崎に取らせよう』という雰囲気になりました」

 両者の成績は甲乙つけがたかった。野球記者の投票の結果、阿波野が新人王に選ばれた。

「それまでにないくらいハイレベルな争いだったから、今年はふたりが受賞でもいいんじゃないかという声も上がったようです。実際に記者から聞かれたことがあって『オレはどっちでも』と答えました。

 結局、オレはパ・リーグ会長特別賞をもらうことになりました。それまでの歴史でなかったことなので、価値がありますよね。新人王はいくらでもいるけど、特別賞はオレだけだから」

〈西崎幸広編・その1/その2につづく

#5に続く
「3年連続200イニング15勝以上」“トレンディエース”時代を切り開いた西崎幸広が10年後再戦した阿波野秀幸にかけた言葉「もうちょっと頑張ろうか」
この連載の一覧を見る(#1〜5)

関連記事

BACK 1 2 3 4
#日本ハムファイターズ
#近鉄バファローズ
#西崎幸広
#阿波野秀幸

プロ野球の前後の記事

ページトップ