陸上競技《U20日本王者》が「東大現役合格」の衝撃…“究極の文武両道”吉澤登吾とは何者か？「特別なことはなにもしていなくて。ただ…」 

　このレースは“爆速”で進行した。1周目の通過が51秒から52秒。一般的に800mのベストタイムが生まれるのは、「1周目のタイム×2＋2秒」と言われている。このペースだと1分45秒前後の日本記録ペースとなり、高校生にとっては突っ込み過ぎといえた。しかも、真夏。最後まで持つわけがないーー多くの人がそう考えた。吉澤もそのひとりだった。

「この通過タイム、おかしいですよ（笑）。僕は『これで落合が落ちないわけがない』と思いました。ここから耐えればワンチャンあるかも、と。ところが、これが落合にとっては適正ペースで、僕にとってはオーバーペースだった。落合は400m過ぎから上げていきましたけど、僕は500mあたりからキツくなって、チーンという感じでした」

　吉澤は1分50秒65で4位。自重して表彰台を狙うレースではなく、落合を負かしにいった結果であり、見ていてどこか清々しかった。

IHで日本記録を出したライバルの落合は日本選手権800ｍでもシニア選手を抑えて圧勝。駒大へ進学している　©Asami Enomoto

ペルーのU20世界選手権代表に選出

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　ふつう、受験生は夏の大会まで走ったら、そこで部活動引退である。しかし、吉澤は8月22日から9月3日まで、ペルーのリマで行われたU20世界選手権へと遠征した。部活は続く、である。

「インターハイが終わってからは、たまに学校に行くくらいで、家で勉強しつつ、代々木公園だったり、アップダウンのあるところを走ってました。僕は競技場で練習するよりも、いろいろな環境で練習した方が結果につながると感じていたので。

　それでペルーですが……ペルーは遠い。とにかく遠い（笑）。食、水といった衛生環境の変化にも対応しなければいけなかったですけど、観客は地元の人が見に来てるくらいで、大会自体はいたってフツーでした」

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