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“最高評価”自由獲得枠で巨人入団…“世代No.1の逸材”野間口貴彦はいま何している?「巨人を選んで後悔はない」でも「オレンジ色はもう…(笑)」
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沢井史Fumi Sawai
photograph byFumi Sawai
posted2025/04/28 11:04
現在オイシックス新潟でコーチを務める41歳になった野間口貴彦。世代No.1の前評判で巨人に入団したが、プロ生活は順風満帆とは行かなかった
13年には右ひじの状態が悪化し、トミー・ジョン手術にも踏み切った。14年には育成選手となってリハビリに専念するも、翌年には戦力外通告を受け、ユニホームを脱いだ。
目まぐるしく駆け抜けていった巨人時代を、野間口は「展開が早過ぎた」と回顧する。
「もう、必死でしたね。特に20代前半は大変でした。1年目から3年目のことは正直よく覚えていないんです。それくらい、もう毎日が精一杯でした」
現役引退後は「独立リーグ専門スカウト」に
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現役を引退後は巨人の編成部門に携わり、NPBでも珍しい独立リーグ専門のスカウトを2年間務めた。実は野間口は過去の自分も踏まえ、独立リーグに興味があったのだという。
「独立リーグには自分のように大学を途中で辞めるとか色んな事情を抱える選手が多く在籍しています。最初に独立リーグの試合を見た時は大丈夫かと思うくらいのレベルでしたけど、そういう選手がプロ野球選手になる道を繋ぐ意味では重要なリーグ。野球人口を減らさない意味でも、この組織、このリーグは大事だと思ったんです」
NPBとの貴重な“橋渡し役”として、地方のあらゆる球場に足を運び名刺交換をした。頭を下げ、方々の関係者と繋がっていくにつれ、あることに気づいた。
「僕はプロ野球界しか人脈がなかったんですけど、チームを運営する社長だったり球団内部の方だったり色んな方と話をしていくうちに、もっと(視野を)広げるにはプロ野球界よりもプロ野球界以外の人脈の方が大事じゃないかと思うようになったんです」
そうして、20年に巨人を退団した。
現役時代から数えて15年。組織を離れ、40歳を前に安定した職を探さなくてはいけないとも思ったが、1年間は今後についてゆっくり考える時間を設けるつもりだった。ところが、当時BCリーグに所属していた新潟アルビレックスから、翌年の3月に臨時コーチの打診を受けた。それが新潟との初めての出会いだった。

