格闘技PRESSBACK NUMBER
「プロレス史上最大の謎」42年前のアントニオ猪木“舌出し失神事件”の真相を追う…実弟が語った衝撃の真実「病院着のままの兄貴と美津子さんを…」
text by

欠端大林Hiroki Kakehata
photograph byMoritsuna Kimura
posted2025/03/19 11:05

今から42年前の第1回IWGP決勝戦でのハルク・ホーガンとアントニオ猪木。この試合でホーガンの攻撃を受けた猪木は失神し、救急搬送されることに
だが、その「栄光のシナリオ」は暗転する。ホーガンの斧爆弾を受けた猪木は舌を出したまま動かず「失神」。悲鳴に近いファンの声を受け、セコンドが無理やり猪木の体をリング内に押し込んだものの、試合続行は不可能。21分27秒、KO負けを喫した猪木は直ちに救急車で新宿の東京医科大学病院に搬送された。
啓介氏の証言。
「私は身内ということで救急隊員に促され、救急車に乗りました。同乗したのは私のほかに富家孝リングドクター、付き人だった髙田伸彦(現・延彦)選手だったと思います」
ADVERTISEMENT
当時の東京スポーツ報道から、時系列で状況を追ってみよう。
<6月2日>
〇21:12 ホーガンのKO勝利がコールされる。
〇21:16 救急車が蔵前国技館に到着。猪木を乗せ、児玉三磨コミッションドクターが理事をつとめる新宿の東京医科大学病院へ向かう。
〇21:45 救急車が東京医大病院に到着。「猪木倒れる」の一報を聞きつけた一般メディア、ワイドショーを含む報道陣が病院に集まり出す。
〇22:05 「意識はある」と児玉ドクターが報道陣に説明。
〇22:15 レントゲン室に移動。富家ドクターが「一過性脳しんとう」との見解を示す。
〇22:32 倍賞美津子夫人が病院に到着。新宿署の刑事2人が児玉ドクターに事件性の確認。
〇23:08 新間寿・新日本プロレス営業本部長が病院に到着。
〇23:16 精密検査を開始。美津子夫人が「帰りたい?」と声をかけるも猪木は無言。
〇23:26 CTスキャンを実施。
〇23:55 「CTスキャンに異常なし」と児玉ドクターが説明。
<以下6月3日>
〇00:38 検査室から病棟6階の1603号室へ移動。
〇00:45 病室のドアが閉められ、外には髙田選手を残すのみとなる。
記者の姿が消え…本当のドラマが始まる
原稿の締め切り時間を過ぎ、「猪木の生命に別状なし」というドクターの説明を聞いた朝刊紙の記者たちは1人、また1人と引き上げていった。
だが、「本当のドラマ」はここから始まることになる。