濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「自分以外はみんな敵だと…」うつ病を患った女子プロレスラーのその後…引退→復帰も経験した真白優希の思い「同じ病気の人たちにも試合を見てほしい」
posted2026/04/25 11:00
うつ病と向き合いながらリングに上がる女子プロレスラー・真白優希
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橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto
プロレスの世界は団体が増え、裾野が広がることで「プロレスラーを目指す理由」も多様になった。子供の頃からのプロレスファンというだけでなく、女子では芸能界から新たなチャンスを求めてのチャレンジも。
真白優希の場合は“親のすすめ”だった。最初のきっかけは、女子団体アイスリボンによる一般向けプロレスサークルに参加したことだ。
「父親がプロレスとか格闘技が好きで、テレビでアイスリボンを知っていろいろ調べたらしいんですよ。“行ってみたら。体動かすの好きでしょ”って。それが高校1年の時です。卒業する時には“進学する? プロレスラーになる?”って(笑)」
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なんとなく通っていたプロレスサークルだが、もともと芯が強く負けず嫌いでもあるのだろう、プロレスへの気持ちが大きくなっていった。中学時代は陰口を言う仲間が嫌で女子グループを抜け、そのことでいじめられることにもなったが、逆に生徒会の役員に立候補したという。
バックステージで泣き叫ぶ声が聞こえてきた
“練習生ホワイト”として過ごしていたアイスリボンには、石川奈青(現マリーゴールド所属)という同期がいた。
「性格は全然違いますね。かなり特殊な、変わった人なんですけど、いてくれて本当によかった。最初は大嫌いだったんですけど、ライバルとして切磋琢磨することができました。いつかまたリングで会えたらなって思います」
石川は真白より早く、2020年5月にデビュー。当時、団体の取締役だった藤本つかさは「石川のデビューが決まって、ホワイトが悔しがって毎日泣いてるんですよ」と言っていた。
泣くほど悔しい気持ちが持てる人間だったが、実力がなかなかついてこなかった。“強い気持ち”と“度胸”はまた別だったりもする。プロデビューへのテストとして組まれたエキシビションでは、初っ端の攻防でギブアップ。緊張の糸が切れてバックステージで泣き叫ぶ声が客席にも聞こえてきた。
同年8月にデビューを果たしたが“へなちょこ”というイメージがついて回った。コミカルな試合の担当と言えばいいのか。得意技は目潰しと膝カックン。コーナーからのボディアタックは飛距離がなく「もうちょっとこっちで」と相手に近寄ってもらう。
なのにやけに大胆で、デビュー2戦目で鈴季すず(現スターダム)のシングル王座への挑戦を突如アピールしたこともあった。チャンピオンが「誰の挑戦でも受ける」と言っていたから挑戦しようと思ったそうだ。さすがに挑戦は認められず、すずとの試合は異例の「10本勝負」で行われた。が、あっという間に6本取られて負けた。


