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日本代表W杯への課題“クロスからの決定力”が異様に高い未招集FW「上手くハマってる」「“ある準備”を知ること」小川航基27歳が語るヒケツ
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ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byVCG/Getty Images
posted2025/03/27 11:52
2024年11月のW杯アジア最終予選アウェーでの中国戦、小川航基はゴールを奪って久保建英と喜ぶ
「調子が良い時は誰でも気分よく過ごせるんですよ。でも、調子が悪い時や試合に出られないような苦しいときに何ができるのかが本当に大事で。『どんなときでも努力をする』と口で言うのは簡単ですけど(調子や置かれた状況が)良くない時に、しっかり努力できるかどうか。出場時間が短かった時期に、僕がやるべきことに取り組めていたのは、ハチ君を始めとして、素晴らしい先輩の姿を見て、自分がどうすべきかを肌で感じられたからでした」
小川にとってジュビロでのラストシーズンとなった2021年、リーグ戦24試合に出場したものの、1試合の平均出場時間は約13分だけで、1ゴールしか決められなかった。ところが、翌年に横浜FCへ移籍して、J2で26ゴールを叩き出して得点王になった。
それを可能にしたのはジュビロで不遇をかこっていた時期の努力があったからだと小川は確信している。
“クロスに合わせる能力”が異様なまでに高い
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そしてその努力は、日本代表の常連となった今にも繋がっている。
「昨シーズンからそうなのですが、得点の匂いがするところに、良いタイミングで入っていけている感覚があります。シュート(の強度や技術)については自分のストロングポイントだと考えているので、ゴールの匂いがするところに入っていけていることが、“その要因”かもしれないですね」
小川の最近のゴールシーンを振り返ると、否が応でも気づかされる。本人が「その要因」と表現した、圧倒的なまでのクロスからのゴールの量と多彩さだ。
日本代表は北中米W杯出場を決めた直後のサウジアラビア戦で、29試合ぶりの無得点に終わった。小川は未招集だった中で、本番に向けてクロスからの決定力に課題を残したが――2024年の代表戦で小川は6ゴールを決めている。その全てがクロスからの得点だったのだ(こぼれ球を押し込んだものを含む)。
2024−25シーズンのNECナイメヘンでは、カップ戦を含め、PKを除くと8ゴールを記録している。そのうち、実に7ゴールをクロスから決めている。小川のクロスボールに合わせる能力は異様なまでに高いのだ。
サウジ戦でのゴールに仲間が「さすがだな!」と
現在の日本人選手でここまでクロスに強い選手は他にいない。その理由はいくつかあるのだが、日本代表での試合で決めた〈あのゴール〉については、こんな見解を持っている。
「周りにいる選手の特徴に加えて、『時間帯』を考えて動いているので、それが上手くハマっているのかなと思います」
「時間帯」というのがキーワードだ。

