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「他のクラブからオファーなかった?」“ちょっと意地悪な問い”に東京ヴェルディ城福浩監督の反応は?「答えになっているかわかりませんが…」
text by

近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2025/02/26 11:02

J1日本人最年長監督の城福浩(63歳)が、東京ヴェルディの今季の展望を語った
僕はインタビューの最後にそう告げる。実際、昨年のキャンプに比べると彼の笑顔を見る機会は明らかに多かったし、大きな声で選手へ指示を出すよりも、一歩下がってじっとトレーニングを見つめる時間が長かった。
「そうですかね? まあそれでもしめるところはしめてますけど(笑)」
監督は微笑みながら、キャンプ初日に起こったことを教えてくれる。
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「6対6のポゼッション練習だったかな。僕がボールを空中に投げて、そこからスタートするんですが、わざと新加入の平川のところへ放ったんです」
平川とは、ジュビロ磐田から今シーズン移籍してきた平川怜のことだ。アンダー世代の日本代表経験があり、練習を視察に来ていた北澤豪曰く、とんでもなく才能がある、選手だ。
「そしたら彼はそのボールを競る姿勢が足りなくて、後ろから来た松橋優安にがつーんとやられたんです。僕は1回ゲームを止めて、おい、待て、と。プレースタイルは関係ない、と。それは彼に言ったし、同時に彼以外にも言ったんです。そのあともう一度ボールを投げたら、彼は後ろに下がりながら思い切りバーンと競りにいって、そこからはもうずっと全部本気で競ってますから」
ビブス一つのことで怒鳴り声の城福監督
1月31日、名護での合宿は最終日を迎えた。翌日にクローズドのトレーニングマッチを控えたチームは若干軽めのトレーニングをこなし、最後に赤色と白色のビブスをつけた選手に分かれ、コーナーキックからの守備の練習が始まった。
一本、一本のコーナーキック、そのたび選手たちはマークを確認し、ポジションングを修正する。何本かのキックが終わると、次は控え組の選手たちが少し離れたところに置いてあった赤いビブスをピックアップし、それを身にまとってレギュラー組と入れ替わった。
ピピー!いきなり城福監督の甲高いホイッスルがなる。
「おい!なんで選手のところにビブスを持って行ってやらないんだ!スタッフが選手に持っていってやれば、その時間も(選手は練習に)集中できるんじゃないのか!」
何位になるかはわからない。なにかのタイトルをとれるかもしれないし、とれないかもしれない。でも僕はビブス一つのことで必死の形相で怒鳴り声をあげる城福浩という監督を眺めながらこう思う。
今年もヴェルディは面白そうだな、と。
<全3回/第1回から公開中>
