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「他のクラブからオファーなかった?」“ちょっと意地悪な問い”に東京ヴェルディ城福浩監督の反応は?「答えになっているかわかりませんが…」
text by

近藤篤Atsushi Kondo
photograph byAtsushi Kondo
posted2025/02/26 11:02

J1日本人最年長監督の城福浩(63歳)が、東京ヴェルディの今季の展望を語った
「去年はギリギリ開幕に間に合わせましたけど、今年はやるべきこと、ブラッシュアップするべきことを去年よりも早いペースでやれてはいます」
――いい試合ができていても点を取られることはあるんだから、そういうセリフって昨年のキャンプの今の時点では言えないセリフだったかと。
「とてもじゃないけど言えなかったですね(笑)。今年の1試合目の課題が、去年のキャンプでいうと最後の試合で抽出された課題、ですから」
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――スタート地点が去年より高い。そこに対する緊張感はあるんですか?
「もちろん緊張感はあります。でも、なんて言うんだろうな、サッカーにおける『ベース』って、普通は『止める・蹴る』っていう言葉が思い浮かぶじゃないですか。僕らの『ベース』は、それだけじゃなくて、今まで自分がやったことのないボールへの寄せ方やヘディングの競り方、連続するポジションの修正ということ。それを100%でやるというベースの上に、選手の組み合わせや、ポジションごとのタスクや、システムがある。だからそのベースさえ維持できていれば、そんなに崩れることはないだろうなとは思っています」
去年は6位…今シーズンはどこまでいける?
そしてもちろんその100%が意味するものは当然、去年の100%よりも大きな100%になってしかるべきだと城福監督は強く言う。それを聞くと、僕のような能天気な人間は、次に必ずこういう質問をしてしまう。
「去年の今ごろあの状態で6位になれました。ということは、今シーズンはどこまでいけるんでしょうか?」
そして、そういう質問をするメディアに対してもう100万回くらい答えて来たベテラン監督は、とてもわかりやすくこう説明する。
「練習の環境、食事のメニュー、エキップ(練習着やトレーニング用具)の量、そして練習の質、選手に求める基準、そういうものを一つ一つ上げてゆく時、一番やりやすいのは一番底から始めることですよね」
そして実際、城福浩が2022年の夏にこのクラブにやってきたとき「東京ヴェルディはこれ以上の底はないよね」という状況だった。
「陸上競技でちょっと足の速い子に、ちゃんと走り方、正しいフォームとスタートのコツを教えてあげれば、14秒だった子があっという間に11秒台にはなりますよ。でもそれを10秒9、10秒8に縮めていくのがどれだけ大変か。ヴェルディも、昨季までは『1秒ってこんなにすぐに縮まるの!』って感じだったんですよ。みんなが努力して、こんなに進歩するんだ!と。でも、ここから先は、誰もが10秒台で走る世界、そして今までの努力じゃ、コンマ1秒は縮まらないです」
じゃあそのコンマ1秒を縮めるためにはどうするのか? そこも聞いてみたい気がするけれど、その答えを聞いていたらきっと翌日の朝までかかりそうな気がするし、なんとなく答えはわかっているような気もする。