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173cmの長身も“脱モデル体型”で39年ぶり室内日本最高記録…女子走高跳・高橋渚(25歳)の大躍進 「スッと跳んできたい」有言実行の大台突破ウラ話
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山崎ダイDai Yamazaki
photograph byセンコー株式会社HPより
posted2025/02/16 11:02
チェコで39年ぶりとなる1m92cmの室内日本最高記録をマークした女子走高跳の高橋渚(センコー)。右は醍醐奈緒美コーチ
醍醐コーチは常々「焦りは禁物」と自戒を込めて、こんなことを話してくれていた。
「跳躍競技や投擲競技はたまたま調子やタイミングが合って一本パーンと記録が出てしまうことがあります。ただ、そうやって『出てしまった』記録はかえって本人を苦しめることにもなる。実力通りの、再現性のある記録を積み上げていくことが本人にとっても大事なことだと思っています」
だからこそ、今回1m90cm台の記録をマークできたことは大きな意味を持つ。
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高い再現性を備える高橋と醍醐コーチのコンビであれば、今後も同レベルの記録を連発できる可能性が高いからだ。実際に続く1m94cmの跳躍もかなり惜しいものだった。
世陸金メダリストや有力選手と好勝負
しかも、同大会で覇を競ったのは2022年オレゴン世陸の金メダリストであるエレノール・パターソン(オーストラリア)や、2023年ブダペスト世界選手権5位のラマラ・ディスティン(ジャマイカ)といった有力選手たちだ。そういった強敵を相手に、海外の舞台でもベストの動きができる能力は特筆に値する。
「少しずつ段階を飛ばさず1年1年やってきた結果がこうなっているんだと思います。(指導する醍醐)先生がそこは上手に流れを作ってくれていて、それが大きいですね」
東京世陸の参加標準記録は1m97cmと日本記録を上回る。
そこにはまだ届かないが、一方で日本陸連が定める「開催国枠エントリー」の目安になる設定記録1m90cmをクリアしたことで、アクシデントがなければ代表入りの可能性はかなり高くなった。出場ということになれば、日本女子としては12年ぶりの世界大会の舞台ということになる。
「まずは大台を超えること。超えればきっとまた見える景色があると思うので――」
そう語っていた高橋の目には、いま何が見えているのだろうか。

