173cmの長身も“脱モデル体型”で39年ぶり室内日本最高記録…女子走高跳・高橋渚（25歳）の大躍進 「スッと跳んできたい」有言実行の大台突破ウラ話 

　指導する醍醐奈緒美コーチはもともと三段跳の日本トップ選手。昨夏の時点で東京世陸に向けて大きな自信も見せていた。

「筋力・走力はかなりついたと思います。180cmを越える長身選手が多い世界の舞台では、日本人はモデル体型じゃ勝てないんですよ（笑）。あとはそれをどう跳躍に繋げられるか。世界陸上に向けて大きく変えるというよりは、これまで積み上げたものをさらに伸ばしていく感じになると思います」

　走高跳という競技は、単純に身体能力の向上がそのまま記録に直結しない。フィジカルの成長を跳躍につなげられなければ、むしろリズムが狂うことで記録を落とすことすらある。ただ、世界で戦うためにはそれでも出力を上げざるを得ない。

高橋を指導する醍醐コーチ。近年はフィジカル面の向上が顕著だという（2024年8月撮影）　©Kiichi Matsumoto

高橋が持つ「再現性」の高さ

ADVERTISEMENT

　そんなセンシティブな種目において、特筆すべきなのが高橋の「再現性」の高さだ。

　今回のチェコの記録会前にも、欧州の試合で自己ベスト級の記録を連発している。昨季を振り返ってみても、1m80cm台後半の記録を幾度もマークしており、外すことがほとんどなかった。調子にかかわらず常に「同じ動き」をする必要がある走高跳において、その「再現性」の能力は非常に重要になる。跳躍の際の感覚について、高橋はこう分析していた。

「少しずつ跳躍の中で、自分が良い時の感覚がわかるようになってきました。フィジカル面のアップも、それが跳躍に繋がるというのが自分の中で動いていて実感できるようになってきた。

　映像ももちろん見ますけど、そういう感覚が一番大事ですかね。もちろん時々、正解がわからなくなった時は過去の動画を見たりして、『あ、そんな難しい話じゃないな』というのを確認するために動きを見たりはします」

【次ページ】　世陸金メダリストや有力選手と好勝負