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「貯金を切り崩して生活」カーリング日本選手権優勝チームでも“資金難”のナゼ…北海道銀行との“契約終了”からフォルティウスが復活した理由
text by

松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byAFLO
posted2025/02/11 11:01
フォルティウスでスキップを務める吉村紗也香
「チームメイトだけはそろっていました」
困難も多々ありながら、継続できた要因は次の言葉にある。
「オリンピックを目指してやってきて、(北京五輪日本代表決定戦が)終わってからすぐに答えは出ませんでしたけど、まだ頑張りたい、オリンピックに出たいという気持ちが出てきました。チームのメンバーもそういった思いがありました。そこの思いはほんとうに強かったかなと思います」(吉村)
加えて、カーリングへの思いが消えることはなかった。
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「みんな大変な中でしたけど、好きなカーリングができると思ってやるしかないと、たくさんの方の協力を得て、一つ一つ整えていきました」(船山)
カーリングが続けられるからこそ、近江谷は言う。
「カーリングができるだけで恵まれていると思います」
何よりも乗り越えられた原動力は、決勝でのプレーが象徴するように安定感と精度のあるショットで貢献、大会MVPに輝いた小野寺の言葉にうかがえる。
「ゼロから(のスタート)でしたけど、チームメイトだけはそろっていました」
代表決定戦はSC軽井沢、ロコ・ソラーレとの戦いに
代表決定戦に進出するには優勝しかないという条件のもと、それをクリアしたフォルティウスは3月の世界選手権の日本代表となり、日本のミラノ・コルティナ五輪出場権獲得のためにも戦うことになる。
その先に9月の日本代表決定戦がある。
近江谷は2010年バンクーバー五輪、小野寺は2014年ソチ五輪に出場している。2人はそれ以来の五輪出場を目指すことになる。吉村にとっては常呂高校でバンクーバー五輪代表決定戦に出場して以来、5度目のオリンピック挑戦になる。そして小谷と小林は初めての出場を目指すことになる。
「代表決定戦はSC軽井沢さんとロコ・ソラーレさんとの戦いになるので作戦面や技術面を磨いて、より強い姿を見せていきたいです」(小野寺)
閉ざされることのなかったオリンピックへの扉を開いていくために、進んでいく。

