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電撃トレードも「驚きはなかった」ホークス→DeNAのクールな男・三森大貴がもたらす“常勝のDNA”「勝利に貪欲にプレーするのが当たり前、ですから」
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石塚隆Takashi Ishizuka
photograph bySankei Shimbun
posted2025/02/10 11:03
昨シーズンは25試合出場にとどまり、打率.288、1本塁打、2盗塁。しかし今季初実戦の紅白戦では早速躍動を見せた
さて、あくまでも冷静沈着な三森だが、野球という生業について果たしてどのような思いを抱いているのだろうか。そう問うと、三森はしばし考えて口を開いた。
「好きで始めたことが、今も仕事としてやれているというのは、世間を見てもなかなかないことだと思うので、やれるうちは全力で取り組みたいなと思っているんです」
ただ野球というスポーツは、トータルで見れば失敗が多く、報われることが少ない。そのなかで、モチベーションや自分を奮い立たせる原動力になっているものとは何だろうか。
「奮い立たせるというものは別にない」
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「いや、奮い立たせるというものは別にないんですよ」
三森は、にべもなく言った。
「プレーすることが当たり前ですし、みんな勝つためにやっているので、いかにそこに貪欲になれるか。だから改めてモチベーションとかじゃなくて、それが自然になっているんですよ」
あくまでもプレーをして勝つことが大前提。だからそこに感情の揺れはない。淡々と語る三森からは、静かな、しかし芯のある情念が漂っているように感じられた。
心機一転、横浜での日々。「楽しみですか?」と尋ねると、三森は頷いた。
「本当に新しい環境ですし、またリーグの違いもあるので、楽しみでしかないですね。あとは怪我をせず、自分の仕事をまっとうしたい」
主力として優勝を味わうために
DeNAは今季、27年ぶりのリーグ優勝を狙っている。三森はソフトバンク時代にリーグ優勝を3度経験しているが、いずれも主力選手としてではなかった。ゆえに、このチームの中心選手として戴冠を味わいたいという気持ちは強い。
チームは『横浜奪首』のスローガンのもと長いシーズンを戦うわけだが、三森はリーグ優勝するためにはなにが必要だと考えているのか。
「よいときも悪いときもあると思いますが、とにかく一喜一憂することなく、毎試合切り替え、全員で勝利に向かっていけばいいと思います」
三森は確信を込めてそう語った。
今季から新しくなったユニフォームの背中に輝く26番。近年はトレード相手になった濵口が背負っていたが、元々横浜の26番は、田代富雄や佐伯貴弘といった中心打者が付けていた番号だ。横浜スタジアムで、“走攻守”にわたりクールに躍動する三森が見られるのが、今から楽しみだ。

