- #1
- #2
猛牛のささやきBACK NUMBER
「あれ予言だったんかー!」オリックス・小田裕也がいま明かす「まんまとやられた」引退セレモニーの舞台裏「“僕の大好きな西野”は咄嗟に…」
posted2025/02/10 11:04

今季から育成コーチに就任したオリックス・小田裕也
text by

米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
JIJI PRESS
昨年、惜しまれながら現役を引退したオリックスの小田裕也外野手。中嶋聡前監督のもと、代走の切り札や守備固めなど名バイプレーヤーとして活躍し、チームのリーグ3連覇にも貢献した。新シーズンからは育成コーチとして後進の育成に取り組む35歳に、本拠地最終戦での“サプライズ”の舞台裏や、「相棒」との秘話など忘れられないエピソードを聞いた。〈全2回の前編/後編を読む〉
うわー、やられた!
小田裕也は端正な顔をゆがめ、手で額の汗を拭った。
指揮官のムチャ振り
昨年9月24日に行われたオリックスの本拠地最終戦後のセレモニー。中嶋聡前監督(今年1月にスペシャルアドバイザーに就任)がファンに向けて挨拶する中、突如こう切り出した。
ADVERTISEMENT
「引退する選手もいます。小田、T(-岡田)、安達(了一)。2021年のCSで、この3人で日本シリーズを決めたのが本当に思い出になります。このあと安達とTはしゃべりますけど、僕は比嘉(幹貴)、小田にもひとこと聞きたいです。比嘉選手、小田選手、お願いします」
まったく予期していなかったムチャ振りに、冷や汗が止まらなかった。
「あれ予言だったんかー」
だが振り返れば、これには見事な伏線があったと小田は言う。
「あの日の朝、球場入りした時に風呂場で中嶋監督と会って、安達さんと3人でお風呂に浸かる時間があったんですよ。その時に、中嶋さんの引退試合の話になったんです。『もう最後セレモニーとかいいから、話さないから、別に試合にも出なくていいからって言ってたのに、(当時日本ハムの監督だった)栗山(英樹)さんにムチャ振りされたんや、オレ』って。
その話を聞いて、『それヤバいですねー』って笑ってたんですけど、それをまんまとやられた。『うわ! スゲーやらしーじゃんこの人』と思いましたよ(笑)。ちゃんと俺に言っといて……。『あれ予言だったんかー』と(苦笑)。最後の最後まで粋な人だなと思いました」