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箱根駅伝“山特化は悪”なのか問題…別大マラソンで青学大・若林宏樹が壊した「スペシャリストは大成しない」固定観念 原晋監督は「最高。輝いていた」
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山崎ダイDai Yamazaki
photograph byJIJI PRESS
posted2025/02/07 06:00
別大マラソンで初マラソン日本最高記録を更新して日本人トップの2位に入った青学大4年の若林宏樹。「山のスペシャリスト」がマラソンでも力を見せた
若林が語っていた「走れなくなる」平地とは、トラックレースを念頭に置いている。
実際に若林は1万mで27分台の記録を持つ学生トップランナーではあるものの「1年目に28分20秒を出していることを考えると、もっと早く(27分台を)出せたと思う」と箱根の山に特化したことでのトラックレースへのデメリットも述べており、それには一定の実感があるのだろう。
だが今回の別大では終盤の「上り」でキプチュンバの仕掛けがおこった。
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キプチュンバに反応した若林は、そこで国学院大の平林清澄や九電工の大塚祥平といった実力者たちを置いて行った格好になった。それは結果的に「山特化」のトレーニングが奏功した形になった。
別大に限らず、基本的にマラソンでの仕掛けはアップダウンを利用するケースが多い。そう考えると、原監督の「青学メソッド」における山対応は、そのままマラソンへの対策にもつながるのかもしれない。もちろん若林本人が述べたように、「現役最後のレース」だからこそ絞り出せた底力があったのも一因ではあるのだろう。
続く青学大ランナーのマラソンはどうなる?
「最高ですね、輝いていましたよ」
そう愛弟子のラストレースを締めくくった原監督だが、青学大は今後も2月下旬の大阪マラソンで黒田朝日(3年)が、3月の東京マラソンには太田蒼生(4年)が参戦予定だ。
箱根路では若林に勝るとも劣らない好走を見せた主力選手たち。
もし彼らも好走するようなことがあれば――駅伝という枠を超えて、ますます日本陸上界における“青学旋風”は強まっていくのかもしれない。


