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「SNSやってないから君の受賞はムリ」と言われたボランチがバロンドール「イニエスタに即返信」「マンCと代表が…幸運だ」ロドリの熱弁
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田村修一Shuichi Tamura
photograph byVisionhaus/Getty Images
posted2025/02/03 17:30
バロンドールのトロフィーにキスするロドリ。中盤深い位置の選手の受賞はサッカー史を変えたとも言える
「彼からこう言われたことがある。『優れた守備的MFは、試合のハイライトシーンに出てくることはない』と。ペップは最高だ。僕が自分を最高のバージョンに高めるまで導いてくれたよき師でもある。
僕が従来の守備的MFのままだったら、この受賞はありえなかった。ゴール前30mで強いインパクトを与えられるようになる。誰かに言われたわけではないが、チームにプラスアルファをもたらすために自分に課した。プレーの進化により必然的に求められたことでもあった。今日のMFはより縦の動きが増えて、ゴール前への侵入回数も増した。僕はブスケッツの現代バージョンという言い方もできる。
僕のようなMFは、チームがたくさんのタイトルを獲らなかったらこのトロフィー獲得はありえなかった。サッカーとはそういうものと僕は思っている」
マンCとスペイン代表…似ているのは幸運だった
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選手としての頂点に立った今、これからの進化の可能性はどこにあると考えているのだろうか。
「シティで僕はポリバレントなプレイヤーになった。今はメンタル面、とりわけリードされた局面でのメンタル面にさらなる進化の余地を感じている。より抜け目なくなれるだろうし、冷静なプレーを心掛けるべきだと思っている」
シティとラ・ロハ(スペイン代表の愛称)、ふたつの共通点と相違点をロドリはどう感じているのか。
「シティはひとつの成熟した集合体で、選手も状況をどうコントロールすればいいかしっかり把握している。リーダーとしての僕の役割も、ピッチの上だけに制限される。それに対して代表の選手たちは、経験値がシティよりも低い。だから僕もカルバハルやモラタら他のリーダーたちと、父親的な役割を演じることになる。
ただ、ふたつのプレーコンセプトが似ているのは幸運だった。プレーの違いに戸惑うことがない。ポルトガル人たちが言うには、代表とクラブではプレースタイルがまったく異なっているという。違いはといえばシティは攻撃的で自由なイメージがあるが、代表ではより堅実なポジションを取ることぐらいだろう」
最後にロドリはこう結論づけた。
「僕が獲得したバロンドールが、歴史のなかでどんな客観的な価値があるのか、僕にはまだ言えない。それがわかるのは、10年後か20年後になるだろう。今はこのトロフィーを眺めながら『僕は何てことをやってしまったんだ?!』とつぶやいている小僧に過ぎないよ(笑)」〈第1回、第2回からつづく〉


