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「ミトマのサウジ移籍の噂、教えてくれ」英国人記者が大騒ぎ…「じつは172億円、再オファー報道も」現地で日本人記者が聞いた、三笘薫へのオファー拒否“全真相”
posted2025/02/04 19:51

ブライトン三笘薫27歳。現地時間1月30日に突然、サウジアラビアからの巨額オファーがニュースになった
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田嶋コウスケKosuke Tajima
photograph by
Getty Images
英国時間1月30日の夕方、筆者のスマートフォンに立て続けにメッセージが入った。
「カオルのこと、何か知っているか?」
「ミトマのサウジアラビアの件、ニュースで見たか? 詳しいことを知っていたら教えてほしい」
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送信者のひとりはブライトンの地元記者、もうひとりは英紙タイムズの記者だった。何事かと思い、急いでパソコンを開くと、20分程前にスポーツサイトの『ジ・アスレティック』が速報で伝えていた。
「ブライトンの三笘薫に対し、サウジアラビアのアル・ナスルが移籍金5400万ポンド(約104億円)で獲得オファーを出した。だがブライトンは申し出を即座に断った」
ほんのタッチの差で、英衛星放送のスカイスポーツも同様のニュースを出している。この後はいわゆる“後追い”で、「アル・ナスルが三笘に巨額オファー」の報道は瞬く間に広がっていった。瞬間風速の強さは、イギリスのX(旧ツイッター)で「Mitoma」がトレンドワードの3位に入ったほどだ。
「個人的に“ビッグニュース”ではない」
だが一連のニュースを確認し、三笘の取材を続けている筆者は「この移籍は間違っても成立しないな」と感じた。そこで、問い合わせてきた記者たちにこう返した。
「ごめん、アスレティックが報じている内容については、このニュースで初めて知った。ただ、カオルがサウジ行きに興味を示すと思えない。契約が成立するには、ブライトンが承諾した上で、27年までクラブと契約を残しているカオルがOKと言う必要もある。だから、この移籍は成立しないだろう。
まずカオルは以前、プレミアでプレーするのが夢のひとつと話していた。ブライトンのことも気に入っている。そして、もう一つの目標がチャンピオンズリーグ(CL)に出場すること。ブライトンでその目標を達成できたら理想だが、それが叶わないなら、他の道を模索するかもしれない。その場合は、CL出場権のあるクラブが希望の行き先になるだろう。
もちろん巨額オファーを含めて大きなニュースではある。ただ、カオルの性格や夢、野望を知っている立場から言えば、個人的に“ビッグニュース”ではない。ひとまず静観したい」
「172億円、再オファーの見通し」
地元記者はすぐにメッセージを返してきた。「たしかに」と答え、「ミトマがJリーグのクラブでなく、筑波大学への進学を選んだことを思い出した。サウジアラビアは選ばないだろうね」と彼の考えを伝えた。