猛牛のささやきBACK NUMBER
「何でそんなに差が出るのか、自分にムカつくというか…」ドジャース入りの佐々木朗希へ“親友”宮城大弥(オリックス)の本音と「決めた覚悟」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2025/01/27 11:07
同い年の佐々木朗希と宮城大弥は唯一無二の親友だ
身長171cmとプロ野球選手の中では小柄な宮城に対し、佐々木は190cm超の長身で、長い腕をしならせ日本人最速165kmのストレートを投げ込む。自分にないものを思い知らされる存在だった。しかも2022年4月10日の対戦では、目の前で完全試合を達成された。以前、宮城はこう話していたことがある。
「身長とか、体重とか、持っているものって人間やっぱり違いますけど、なんでそこでそんなに差が出るのか、ちょっと自分にムカつくというか。『なぜできないんだ?』というのは思います」
世代の先頭を走る宮城
その時、佐々木はどんな存在かと聞くと、こう答えた。
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「それはめっちゃ難しいですけど……。うらやましいです。でも野球をやっていない時は本当になんとも思わない。普通の、同級生の1人の友達というだけなので。まあ野球をやっている時は、160kmを投げたりとか、自分もしてみたいなーと思いますけど(苦笑)。でも、身長もそうですけど、人それぞれいろいろあって、僕だけじゃなく、1人1人嫌な部分はあると思うので、そこは考えすぎずにやっています」
ただ実績ではずっと宮城が先を走ってきた。高卒2年目だった2021年に先発ローテーション入りすると、13勝4敗でリーグ優勝に貢献。22年も11勝、23年も10勝と3年連続で二桁勝利を挙げ、リーグ3連覇の立役者の1人となった。何より怪我なく安定して投げ続けられることが宮城の大きな強みだった。
悲願に立ちはだかった雨
だが昨年、初めて怪我による離脱を経験した。左大胸筋の筋損傷により、5月10日に登録を抹消された。それでも、約1カ月半後の6月27日に一軍復帰を果たすと、そこから登板を重ね、もっともこだわる“規定投球回”到達と、最優秀防御率のタイトル獲得の可能性まで見えてきた。
ところが最後の最後に不運に見舞われた。昨季の最終戦で、宮城の最終登板でもあった10月6日の楽天戦(楽天モバイル)は、7回1/3を投げれば規定投球回に到達するという状況で先発した。雨が強まりマウンドがぬかるむ最悪のコンディションの中、宮城は、守備のミスが絡んだ1失点のみで踏ん張り続けたが、7回表のオリックスの攻撃中に試合が中断した。
寄り添った中嶋前監督
ベンチから、シートに覆われたマウンドを恨めしそうな表情でじっと見つめた。雨やんでくれ、試合を続けてくれと祈り続けたことだろう。
だが無情にも約40分後、降雨コールドが宣告された。6回1失点で7勝目となったが、宮城はタオルで顔を覆い、涙を拭った。