「ぶっ壊れてもいい」激走に次ぐ激走、原晋監督の起用もズバリ…箱根駅伝4位「伝説の学連選抜」が起こした奇跡「オレたち、空気読めてないよな」 

「学連選抜、なんと3位！」アナウンサーも絶叫

　佐藤は区間2位の力走で、復路メンバーの気持ちに再度火をつけた。チームはこの時点で3位。2位駒澤大との差を54秒にまで縮めていた。

　続く7区の川邉一将（國學院大3年）は、順位を2つ落とす苦しい走り。

　だが、8区の井村光孝がまたそれを巻き返してみせる。早稲田大と駒澤大が激しい首位争いを繰り広げる中、その少し後ろで見慣れない関東学院大のユニフォームを着た選手が真っ白な襷を懸命につないでいた。

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「もう走る前から調子が良くて、自分でも一番の仕上がりでした。（運営管理車に乗る監督からの声がけは）ずっと聞こえていて、『すごいぞ、駒澤を除いて一番だ。みんなお前より後ろだぞ』って、とにかく前向きな言葉をかけてもらいましたね。初めて自分の呼吸音が聞こえなくなるくらい、沿道からの応援もすごくて。最後まで自分の力は振り絞れました」

「絶好調だった」という井村さんは、8区を区間2位で駆け抜けた（井村光孝さん提供）

　声援の大きさは、学連チームへの期待の現れだった。8区でまた3位に上がる奮闘ぶりに、日本テレビのアナウンサーが「学連選抜、なんと3位！」と叫んだ。沿道の観客も判官贔屓に歓声を上げていた。今と同じネット環境であれば、きっと井村の走りもバズっていたことだろう。

　井村は区間2位の快走で襷をつなぐ。最後は無理やりにでも笑顔を作った。復路のメンバーで、こんな約束をしていたからだ。

「9区の中村君とも話していたのは、笑顔で襷リレーをしようねって。それはずっと言っていて、最後もそこだけは意識しました。何て声をかけたかは覚えてないですけど、頑張れって彼の背中を押した気がします」

立教大の先輩が言った「給水だけでも箱根を…」

　学連選抜チームへの声援に加えて、9区を走る中村嘉孝には、立教大への応援の声が飛んだ。立教大の選手が箱根路を走るのはじつに40年振りのこと。中村は走りながらワクワクした気持ちを抑えきれなかったという。

中村さんは仲間たちの思い、そして立教大OBの思いを背負って9区を力走した（中村嘉孝さん提供）

「強豪校でもなかなか3位で襷を受け取る機会ってないと思うんですよ。それがもう嬉しくて、自分もちゃんとやんなきゃって思いましたね。事前には聞いていたんですけど、中学校の同級生とか先生も沿道から見てくれていて、中村って名前で呼んでもらったのが嬉しかったです。立教は私一人なので、とにかく声援が大きかったですね」

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