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「ヒデキ・マツイの1スイング目を見たとき」イチローが語った松井秀喜の打撃「じつはこれが天才」「イチローさんが打てる理由は…」《スペシャル対談》 

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石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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photograph byNaoya Sanuki

posted2025/01/17 17:21

「ヒデキ・マツイの1スイング目を見たとき」イチローが語った松井秀喜の打撃「じつはこれが天才」「イチローさんが打てる理由は…」《スペシャル対談》<Number Web> photograph by Naoya Sanuki

イチローと松井秀喜。日本が誇るスーパースター二人の豪華対談が実現した

松井 ホームランを打ったのはその試合、2度目の対戦となるピッチャー(岐阜第一高、桑沢明里)だったんです。彼女と最初に当たったとき、ライト線に大きなファウルを打ったんですよ。あれがあったから、さらに感覚が合ったんですよね。うまくバットがボールの下に入って……野球をやめて12年も経つのにその感覚はあるんです。

イチ 重心を後ろに残す形で打ってるでしょ。あれ、僕にはできないし、仮にやっても打てない形をしているんだよね。僕が考える「ヒットが出る形」をしてないのに結果を出しているから、じつはこれが天才なんだと思った。

イチローさんが打てる理由は…

松井 それはそのまんまお返しします(笑)。私の場合は、とにかく強く打ちたかった。後ろを軸にした回転でヘッドをバンって出したい。だからそういう形になったんだと思います。メジャーでDHのときには、ベンチからイチローさんのバッティングをよく見ていました。私はピッチャーの球を少しでも長く見たいので打席の一番後ろのラインを踏んで構えていましたけど、イチローさんはけっこう前に立って、しかも体重移動をしながらさらに前へ出ていくでしょう。ピッチャーとの距離を自ら近づけにいくなんて、損してる感覚になりませんか。

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イチ そう考えると、たしかに損かもね。でも僕の場合はバットの形を変えないのと似ていて、ピッチャーとの距離を一定にしておきたい。そこを変えてしまうと、自分の状態がわからなくなってしまう。

松井 それでもイチローさんが打てる理由は最後まで手が出てこないこと。身体は前に行ってもトップが深くて手が出ないから、バットも最後まで出てこない。最後の最後にバットがピッと出てきて、90度に打ちわけちゃう。この技術を持っている人はメジャーでも見たことがありません。

一緒にプレーするのは最初で最後?

イチ でも女子との試合ではなかなかタイミングが取れなくて、まったく打てなかった。イメージと実際の軌道が合わないから、振りたいのに手が出ないことが続いて、去年やっと2安打、今年は4安打……ようやく頭と身体が女子のボールを覚えたのかな。それにしても、試合前は一緒にプレーするのはこれが最初で最後なんだろうと思ってたけどね。

<後編に続く>

【続きを読む】サブスク「NumberPREMIER」内の「歴史上あれだけでしょう?」イチローが語った松井秀喜の「うらやましい」と、松井が吐露した「遠いようで近かった」2人の距離感《スペシャル対談》で、こちらの記事の全文をお読みいただけます。

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