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「ヒデキ・マツイの1スイング目を見たとき」イチローが語った松井秀喜の打撃「じつはこれが天才」「イチローさんが打てる理由は…」《スペシャル対談》
posted2025/01/17 17:21
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph by
Naoya Sanuki
【初出:発売中のNumber1112・1113号[スペシャル対談]イチロー×松井秀喜「ともに戦った日々を語ろう」より】
イチローが語る「ヒデキ・マツイ」
イチ ヘイ! ヒデキ・マツイ! その(服装の)感じ、なんだかまたワンランク上がってるねぇ。
松井 いやいや、イチローさん、昨日のKOBE CHIBENの打ち上げのときにも「敬意は大事だ」っていう、いい話してたじゃないですか。だからイチローさんの前でジャケットと襟のシャツは着てこないと失礼になると思ったんです。
イチ あはは、その言い方よ。そう言えば、デニムは穿かないって言ってたよね。
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松井 ほとんど穿かないですね。イチローさんは何を着ても似合っちゃうからなぁ。
イチ 50を超えると着られるものが限られてくるから、いろんなことをやりたいうちにやっておかなきゃね。あ、今日はちょっと声、嗄れてます。昨日の女子との試合で声出しすぎてね。それにしてもあのホームラン(9月23日に東京ドームで行われた高校女子選抜対KOBE CHIBENの試合で松井が打った)、最高だった。ジーンときたし、実際に涙している人もいたよ。
松井 自分が打ってあれだけの歓声が降ってくるという快感、久しぶりでしたね。
イチ 試合前の練習でも一発、ライトスタンドへ放り込んだでしょ。しかもたったの5スイング目? やっぱり持ってるものが違うと思ったね。僕の場合はあれ(練習での柵越え)をするのに何カ月も振り込んでいかないと、バッターボックスに立つ自信さえ持てない。ヒデキ・マツイの練習での1スイング目を見たとき、ああ、これは行くぞって。で、ライトスタンドの中段に放り込んだのを見て、(35年前に)星稜のグラウンドへ練習試合で行ったときのことを思い出した。1年にとんでもないヤツがいると聞いていて、全体を見ているのに「あ、アイツだ!」って秒でわかったときのインパクトは大きかった。
松井 イチローさんに1スイング目でそう感じてもらえたとしたら、嬉しいですね。
じつはこれが天才なんだと(イチロー)
イチ 実際、練習の1スイング目でイケると思ったでしょ?
松井 一塁線へのファウルだったんですが、この打球の強さからすれば、ちゃんと上がれば(スタンドへ)行くなと思いました。試合でも、ピッチャーの投げる球の軌道が頭に入っていたら、そのラインに自分のバットを合わせて出せば、ボールの下にバットが入りますから、打球は上がります。
イチ 角度をつけにいくってことか。