「青木さんの笑顔が見れるなんて…」“高校サッカー最大の誤審”の審判が22年越しの謝罪…作陽“幻のVゴール”青山敏弘が「もう十分」と涙した理由 

「どれだけ目を背けたって事実は事実。何度も言いますが、僕の記憶から消そうとしても絶対に消えないし、仮に消せたとしても他の当事者たちの記憶からは絶対に消えないんです。今日、私が謝ることができたとしても、全てが事実ではなくなるのか、完全に清算できるのかと言われたらそうじゃない。一度深く傷ついた選手たち、当事者たちの心は完全には癒えない。だからこそ、何度も言いますが、これまでもこれからも彼らに『申し訳なかった』という気持ちが私の人生の原動力。それを思い起こさせてくれる大切なファイルなんです」

　ずっと自分の記憶に残さないといけない――22年前から大切にしてきた一冊は今も節目に必ず見返すという。青木だけでなく、多くの審判員たちの積み重ね、そして続けてきたアップデートが日本サッカーの土台にはある。

　インタビューを終え、青木は家で帰りを待つ家族に電話をした。

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「お父さん、胴上げされていた姿をSNSで見たよ。本当によかったね」

　この言葉を聞いて、青木は再び涙ぐみ、同時に少しだけ笑みを浮かべた。

野村監督（現・総監督、校長）に感謝する青木さん　©︎Takahito Ando

　間違いを受け入れて一生共に歩んでいく。青山が言うように、それは決して簡単なことではない。審判という仕事を選んだ青木の覚悟が伝わる笑顔だった。

〈全3回・完／第1回からつづく〉