「青木さんの笑顔が見れるなんて…」“高校サッカー最大の誤審”の審判が22年越しの謝罪…作陽“幻のVゴール”青山敏弘が「もう十分」と涙した理由 

　試合後、両チームの選手は互いの健闘を握手で称えあった。そして、この日の主役であった青山敏弘を全員で胴上げした。すると、今度は全員が青木のもとに集ってきた。

　4回、5回と宙を舞う“審判”の目には涙が光った。

「本当は私が一人一人を胴上げしたかったくらいです。なんなら胴上げの時に『落としてくれ』とも思いました。この試合が決まってから、変に何かを言うのではなく、ずっと言えなかった謝罪の言葉をしっかりと伝えようと思っていました。本当は全体の前ではなく、一人一人に伝えたかったのですが、最後の整列の握手の時に短くですが伝えられたことは私にとっても良かったです」

両校の選手たちに胴上げされる青木さん　©︎Takahito Ando

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　青木が胴上げされる姿を見つめていた作陽の野村雅之総監督（当時・監督）も、溢れるものを抑えきれなかった。

「あそこで青木さんが謝っていなかったら、最後の胴上げはなかった気がする。もちろんみんな40歳前後の大人だから、謝っていなくても雰囲気は変わらなかったかもしれない。でも、青木さんが最初に発した『申し訳ございませんでした』という言葉が、残っていたわだかまりを、すべてではないけど、取り除いてくれたと思う」

「幸せで、最高の一日でした」

　青山も同じ気持ちだった。

「青木さんが笛を吹くということもあって、僕の中では今日までが現役生活だと捉えていました。なので、今日の試合は『本当の引退試合』の位置づけで、現役選手として臨みました。青木さんの笛で試合終了した時に、改めて『あ、今日で本当に現役が終わったんだな』と思いましたね。幸せで、最高の一日でした」

　そして、これまで口にしてこなかった青木への想いもあふれた。

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