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「やっぱりツンデレなんですよ」大谷翔平インタビュアーが語った真相…大谷がふと口にした一言「なるほど、で終わったら僕は見限られていたかも…」
text by
石田雄太×糸井重里Yuta Ishida & Shigesato Itoi
photograph byNanae Suzuki
posted2025/01/15 11:01
大谷翔平唯一のインタビュー本『野球翔年II MLB編2018-2024 大谷翔平ロングインタビュー』の著者・石田雄太に、対談の名手である糸井重里が迫る「大谷翔平論」
石田 すごいですよ。だけど50-50とかいっちゃうわけじゃないですか。野茂(英雄)さんが30年前、イチローさんが25年前、アメリカにいったときって自分をその場に置いてみたらどうなるだろうか、その場に置いてみたら、あ、次があるぞ、もうちょっと次もあるぞっていう感じだったと思うんです。イチローさんが年間安打数262本の記録達成したときに「小さな一歩がとんでもないところにたどりつく唯一の方法だ」とおっしゃいましたけど。でも大谷選手の場合は逆算なんです。
糸井 逆算。
石田 世界一の選手という目標があって、それを高校のときから言ってますから。そこから逆算して何が必要というイメージができあがっている感じなんですよね。そこにむかって必要なものをひとつひとつ足していく。だから一度も100点になったことはないと思うんですよ、彼の中で。今何点なのかわからないですけど、それこそ彼の感覚では、0点の選手がこの練習をして、この体を作って、この経験をして、この選手の真似をして、それができるようになった。だんだん加点法で、自分でイメージした、逆算した世界一に向かって、順番に上っていってるっていう感じだと思うんです。先が見えている階段なんだけど、それがとてつもなく遠いところにあるという、その強さがものすごく新鮮。そんな風に考えている選手は初めてですよ。もちろん、これまでの日本人選手がアメリカで作った実績があるから、そういう考え方ができたのかもしれないですけど。
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糸井 ダルビッシュ(有)選手も二刀流は難しいんじゃないかというコメントをしていましたよね。
石田 それはみんなだと思います。イチローさんでさえ、ある年はピッチャーとして、次の年はバッターとしてと言いましたけど、二つ同時にっていう発想はなかったと思うんです。大谷選手がふたつ同時に同じシーズンでやると信じていたのは、栗山さんとファイターズのごく一部の関係者くらいだと思いますね。
「やっぱりツンデレなんですよ」
糸井 石田さんにどれだけ大谷選手をずっと見てたかといっても、毎日、一緒に練習しているわけではない。ある意味、ときどき目盛りをつけながら見てるわけですよね。でも今、ドジャースの人は、毎日一緒にいるじゃないですか。大谷選手の後ろ、2番を打ってるムーキー・ベッツみたいな人は大谷選手と毎日一緒だから、きっとあきれてますよね(笑)。