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「寝起きで来たのかなというときも…」大谷翔平インタビュアーが明かす“難しさ”とは?「ささやかな幸せとは何か…大真面目に考えてくれるんです」

posted2025/01/15 11:00

 
「寝起きで来たのかなというときも…」大谷翔平インタビュアーが明かす“難しさ”とは?「ささやかな幸せとは何か…大真面目に考えてくれるんです」<Number Web> photograph by Nanae Suzuki

大谷翔平唯一のインタビュー本『野球翔年II MLB編2018-2024 大谷翔平ロングインタビュー』の著者・石田雄太に、対談の名手である糸井重里が迫る「大谷翔平論」

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石田雄太×糸井重里

石田雄太×糸井重里Yuta Ishida & Shigesato Itoi

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Nanae Suzuki

 2024年10月20日に「前橋ブックフェス」で行われた特別対談。大谷翔平選手の唯一のインタビュー本『野球翔年II MLB編2018-2024 大谷翔平ロングインタビュー』で、彼の本音を引き出したベースボールジャーナリストの石田雄太さんに、対談の名手である糸井重里さんが迫る、大谷翔平論です。<全2回の前編/後編に続く>

大谷さんは一番難しいタイプ?

糸井 石田さんは大谷選手の前に、ある種のテーマ性をもった選手たちにインタビューなさってますよね。典型的なのはイチローさんとか、桑田(真澄)さんとか。「この人は野球についてさんざん考えているだろうな」っていう人ばっかり、石田さんは選んでる。

石田 アスリートには考えるより先に体が反応するタイプの選手もいるんです。考えを言葉にするのが決して得意じゃない、そういう選手から言葉を引き出すのも必要だし、大事だと思うんですけど、僕の場合は言葉にする力のある選手から、さらに言葉を引き出すことに面白さを感じていたところはありますね。

糸井 やっぱりQ&Aだけで終わっちゃう人よりも、アンサーの後で「まてよ」と考えられるタイプの人が面白いということですか。まさしくイチローさん、桑田さんみたいなタイプ。

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石田 彼らは10年経って10年前と同じ質問をしても、その答えを覚えてるんじゃなくて、今考えて同じ答えが出てくるんですよね。ブレないんです。10年前と同じなのは根っこが同じだから。その面白さがありますね。いろんなことを考えているから、その根っこから新しいことがどんどん出てくる可能性もあるし。それは聞き手冥利に尽きますよね。

糸井 スポーツ選手も絵描きも音楽家も、みんなアーティストだと思うんですよね。ある種の偶然性の中で、その偶然に出会った自分がどういう挙動をとるかというのがアートですから。ただ違うのは、絵描きさんや音楽家は絵だったり音楽だったり、すでに起こった事件をぼくらは楽しんでいるけど、スポーツ選手っていうのは、勝ちと負けにすぐにつながるから、何かがわかったらあまり変えたくないっていうのがあるのかもしれない。

石田 そうですね。

糸井 僕はスポーツ選手のインタビューって、今までほとんどしてないですけど、大谷さんにインタビューの機会があっても、おれじゃないほうがいいという気がする(笑)。大谷さんは一番難しいタイプだと思ってるんです。暫定的な言葉を用意しているんですよね。

石田 暫定的な言葉。

糸井 「今はこれでいく」っていうことでしばらく試して続けている最中ですっていう状態だから、誰が聞いても答えは同じわけですよ。大谷選手は若いときからマンダラチャートっていうんですか、夢に近づくための一覧表を作ってましたけど。何を聞いても、今とりあえずこれでうまくいってるからこれでやってますけど、変わる可能性がないわけじゃありませんが、今言う必要はありませんし、あなたも聞きませんよねっていう(笑)。

石田 はははは。

糸井 ドジャースは女性を専属のインタビュアーにしていますよね。あとは元メジャーリーガーに質問をさせたりとか、どこかで大谷翔平という山は普通と違う登山口からじゃないと攻められないというのがわかっている。

【次ページ】 「寝起きで来たのかなというときもある」

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