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「スキー板の規定違反=高梨沙羅への嫌がらせ」は真実なのか…「なぜ試合前にチェックできない?」広がる疑問への“明確な答え”
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2025/01/08 17:35
W杯第9戦(フィラハ)でスキー板の規定違反による失格となった高梨沙羅
高梨が以前から語っていた“体重が落ちやすい”という課題
以前から高梨は体重が落ちやすいということを課題として語っていて、いかに体重を維持するかに腐心し、努力してきた背景がある。今回、体重が落ちるのを防げなかったのだろう。
ルールが細かく決められ、検査も厳密化してきたのは、選手側がルールぎりぎりのラインを狙い、少しでも飛べるような工夫を凝らしてきたこともある。ある意味いたちごっこのような状況が続いてきた結果とも言える。
他競技で言えば、F1でもレース後にマシンの重量計測が行われ、昨年のレースではトップでレースを終えたドライバーが失格となった件を思い出すが、F1並みに、ジャンプもルールを巡り精緻な取り組みがされているからとも言える。
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公平性そしてルール改正において需要なテーマでもあった選手の安全性・健康を守る方向を大切にしつつ(かつては過度の減量などが問題となっていた)、試合でのルール運用の方法などは改善、あるいは一考の余地はあるかもしれない。
限界を狙いつつ、より遠くへ飛ぼうとするジャンプにあって、現在のあり方が最適解なのか、これからも模索が続けられるだろう。