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「欧州で収入は5~6万円、住居食事は…」“J2戦力外後”のプロサッカー選手、リアルな海外挑戦事情「インドネシアでは熱中症になりかけて」
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阿部博一/小野ヒデコHirokazu Abe/Hideko Ono
photograph byJ.LEAGUE
posted2025/01/31 11:02
2009年、水戸ホーリーホック時代の星野圭佑さん。Jリーガーとして4シーズンを過ごしたのち、どんなサッカー人生を送ったのか
当時は月収約10万円+ボーナス。チームからの家賃補助があったため、毎月の出費は2万円の家賃と光熱費などの固定費のみだった。
「ギリギリでした。でも食事に連れて行ってもらうことが多く、周りに助けられました」
お金ではないものを得られた欧州時代
28歳になり、海外チームへ移籍するには、いささか“遅い”年齢に差し掛かっていた。職場からは正社員枠での採用の打診があり、両親もそのポストを望んでいた。だが、星野が選んだのは“挑戦”だった。
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ある日、面識のある海外チームの代理人からリトアニアリーグのクラブチームへの移籍の話を持ちかけられた。リトアニアリーグはヨーロッパリーグに属し、成績が良いチームはUEFAチャンピオンズリーグへの出場権が得られる。メジャーなチームではなくても、欧州リーグで存在感を示し、ステップアップを狙う選手はそれなりにいるとのことで、「その狙い目の国」と代理人から聞いた。
直近ではプロとしての実績がなかったため、現地でトライアウトを受ける必要があった。1回のトライアウトにつき約11万円の料金がかかり、もちろん渡航費や現地での滞在費も自腹だ。それでも、この金額は「適正」だという。
「中には数十万円かかることも。そのほとんどが手数料ですが、“やりがい搾取”は多いと聞きます」
なけなしの貯金をはたき、リトアニアでトライアウトを受けた。しかし、「なぜか対戦相手だったラトビア1部リーグのチームと契約を結ぶことになったんです。本当にギャグですよね」と苦笑いする。
珍事を経て、FKリエパーヤに入団し、念願のヨーロッパリーグ選手になった。
プロ契約ではなかったが、収入は月5~6万円で、住居や食事もチーム負担という待遇だった。
「その後、ラトビア2部リーグのFKアウダに移籍をし、トータル2年間海外でサッカーをしていました。プレーはもちろん、ラトビアという国の歴史や、人の考え方や価値観を知ることができ、お金ではないものを得られました」
インドネシアのチームからオファーを受けるも…
チームメイトにも恵まれ、実績を上げていった。しかし、目標に据えていたUEFAチャンピオンズリーグ出場には一歩及ばず。さらに、ビザの更新ができず、帰国せざるを得なくなった。

